報道写真「硫黄島の星条旗」をもとに造られた海兵隊戦争記念碑(AFP=時事)

報道写真「硫黄島の星条旗」をもとに造られた海兵隊戦争記念碑(AFP=時事)

 もう1枚は「硫黄島の星条旗」(1945年2月23日撮影)と呼ばれる有名な白黒の写真だ。第二次世界大戦中、日本軍と米軍が戦った硫黄島の山頂で星条旗を掲げる兵士らの姿を収めたものだ。撮影したのはAP通信のジョー・ローゼンタール氏だ。風にはためく星条旗を数人の兵士らが掲げ、1人はその旗に向かって右手の拳を高く突き上げている。国家の勝利を連想させる象徴的な写真は、後に首都ワシントン郊外のアーリントン国立墓地近くに記念碑として建立された。

 ドラクロアの絵と硫黄島の写真はどちらも勝利の象徴だ。それだけに構図が似ている奇跡の一枚は、これらを思い出した人々に強いインパクトを与え、トランプ氏の勝利を連想させることにつながるのだ。

 さらにこの写真が奇跡的なのは、これを見た人がトランプ氏を見上げるような構図になっていることだ。写真をまっすぐ正面から見ているのに、撮影者が演壇の下から撮影しているため、見た人は彼を見上げるような錯覚に襲われる。高さは富や権力、地位を象徴するといわれる。王様や権力者たちが、人々より高い玉座に座るのも地位や権力を誇示するため。強いリーダーをアピールし大統領選に勝利するには、人々にトランプ氏を見上げるような印象を与えるこの一枚は実に効果的だ。

 米ウィスコンシン州ミルウォーキーの共和党全国大会に右耳にガーゼをつけながらも元気な姿を見せ、大統領候補として正式に指名されたトランプ氏、トランプコールに沸く会場で、右手の拳を上げガッツポーズを見せた。戦うリーダー像をアピールした彼のイメージを、奇跡の一枚はどこまで後押しできるだろう。

右からイバンカさん、次女のティファニーさん、ララさん、キンバリーさん、次男エリック氏、長男ドナルド・ジュニア氏(AFP=時事
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右からイバンカさん、次女のティファニーさん、ララさん、キンバリーさん、次男エリック氏、長男ドナルド・ジュニア氏(AFP=時事 )

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