昨年の名古屋場所前には、直前の夏場所で復活優勝を果たした照ノ富士が河村市長を表敬訪問し、報道陣を前にした“取組”では豪快に吊り落としてみせたが、直後の名古屋場所は2日目から連敗を喫して4日目には途中休場に追い込まれている。
「5月の夏場所は優勝経験4回の照ノ富士だが、7月の名古屋場所では優勝経験がない(優勝した2020年7月場所はコロナ禍で東京開催)。2015年も夏場所で優勝して、新大関として名古屋場所に臨むにあたり、横綱・白鵬(現・宮城野親方)と一緒に市役所を訪問して河村市長を投げ飛ばしているが、本場所は11勝4敗と早々に優勝争いから脱落した。一緒に表敬訪問したものの市長との取組がなかった白鵬が同場所は優勝している」(前出・担当記者)
その照ノ富士は休場明けで今年は市役所でのPRには出席せず。すると、相性が悪いはずの名古屋場所で初日から白星を重ねているため、“ジンクス”が説得力を増してくるわけだ。
「2016年は夏場所を全勝で制した白鵬が河村市長との取組でPRしたが、名古屋場所は10勝止まりに。2017年は横綱昇進後、初の名古屋場所となる稀勢の里(現・二所ノ関親方)が表敬訪問して河村市長を床に転がしたが、5日目から途中休場。河村市長と相撲を取った力士は2018年の鶴竜(現・音羽山親方)も6日目から休場、2019年の朝乃山は7勝8敗の負け越しと、名古屋場所で成績が振るわないことが続き、関係者の間で“ジンクス”として定着するようになったのです」(前出・担当記者)
さらに遡っても、2013年は大村秀章愛知県知事への表敬訪問で相撲を取った白鵬が優勝し、河村市長と取った日馬富士が賜杯を逃すといった具合に、凄まじい神通力のようだ。
もちろん、6月は巡業がないため、合宿を張る部屋とそうでない部屋とでは稽古量に大きく差が出るうえに、7月場所の名古屋は蒸し暑く、コンディションづくりが難しいことでも知られており、波乱が起きやすい土壌がもともとある。そうしたなかでジンクスが続いているわけだが、大の里は今場所をどんな成績で終えるのか。
※週刊ポスト2024年8月2日号