AR-15式ライフルが並ぶアメリカの銃砲店(AFP=時事)

AR-15式ライフルが並ぶアメリカの銃砲店(AFP=時事)

 合法的に入手しやすく、価格も安価なものから高額なものまで幅広い。自動車が価格帯によって、そのグレードやオプションが異なるのと同じだと思えばいい。低価格帯だと500~800ドル(約8~12万円)、その上のミドルクラスだと1000~1500ドル(約15~23万円)で米国の平均的な愛好家はだいたいこのクラスを購入するという。ハイレベルになれば3000ドル(約47万円)を超えるらしい。友人によると「トリガーやスコープ、ハンドガードなどカスタマイズが自由にできるところもこの銃が人気の理由だ」という。引き金を引く度に次の銃弾が装填される半自動小銃で、拳銃ほど反動がなく引鉄は軽いそうだ。名前は違うが米軍が持つM16も同じAR-15である。

 トランプ氏が銃撃された会場では、シークレット・サービスもライフル銃を構えて警護に当たっていた姿が捉えられている。日本では日常的に見ることがないライフル銃だが、紛争地域や治安の悪い危険地帯などに行くと、これががぜん身近なものになってくる。中南米のある国に仕事で赴任した知人は、多発する誘拐事件から子供たちを守るため、学校への行き帰りに防弾仕様の運転手付き専用車とボディーガードをつけていたと聞く。防弾仕様とはいえ、いつどこで狙われるかわからないため、助手席に座るボディーガードは常にライフル銃を携帯していたという。

 2002年、ロシアの首都モスクワでテロリストによって劇場が占領され、観客を含む200人が犠牲になるという事件が起きた時期、政府関連主催の会合に出席するためモスクワを訪れた友人によると、迎えにきた車の後部座席隣に座るロシア人の足元に、ライフル銃が置かれていたという。会場につくと物々しい警護が敷かれ、ライフル銃を肩にした警護官らが建物の周辺に配置されていたと聞く。

 今もウクライナを始め、戦争や内戦が起きている国や治安の悪い国や地域では、ライフルは身近な護身のための道具だ。だが持つ人によって、簡単に人を射殺できる攻撃用の武器になる。それをどのように止めるのか。九死に一生を得たトランプ氏にこそ考えてもらいたい。

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