若手・中堅議員からは、小林鷹之・前経済安保相や斎藤健・経産相の擁立の動きがあり、候補者乱立の総裁選になりそうだ。
だが、派手な総裁選を演出するのは自民党政権延命の常套手段だ。自民党は危機に陥るたびに、総理・総裁という「選挙の顔」をすげ替えることで国民の批判を逸らし、選挙を乗り切って政権を維持してきた。
元共同通信政治部次長で政治記者歴60年のベテラン政治ジャーナリスト・野上忠興氏が言う。
「支持率が1桁に落ち込んだ森喜朗首相の次は『自民党をぶっ壊す』と小泉純一郎氏が登場して支持を盛り返したし、コロナ失政で退陣した菅前首相の次は岸田首相に看板を掛け替えることで総選挙に勝利した。しかし、小泉政治では非正規雇用が増えて国民の格差が広がったし、岸田政権も裏金問題で党の金権体質が変わっていないことを露呈した」
トップを代えても自民党政治の本質は大きく変わらなかったのだ。
次の自民党総裁は総理大臣として国政と外交の舵取りを担うことになる。
総裁選の投票権を持つ自民党議員たちが選挙で生き残ることを優先し、「選挙の顔として票が取れる」という基準で政治手腕のない政治家を選べば、ツケは国政の混乱となって国民に回される。
だからこそ、国民は今度こそお祭り騒ぎの総裁選で誤魔化されないように、総裁候補の資質を見極めることが重要だ。
そこで本誌は、長年自民党政治を取材してきたジャーナリストや政治評論家、自民党OB政治家など7人の「政治のプロ」に名前の挙がっている総裁候補たちのなかから、「ポスト岸田の総理に選んではいけない政治家」と理由を挙げてもらってランキングにした。
そこから現在の政治に問われている課題が見えてくるはずだ。第2回、第3回ではランキングをもとに詳細を見ていく。
(第2回に続く)
※週刊ポスト2024年8月2日号