自民党総裁選まであと2か月となり、次から次へと「ポスト岸田」候補の政治家の名前が取り沙汰されるようになった。だが、果たしてそのなかに、失われた政治への信頼を取り戻し、低迷する日本経済を立て直し、外交も含めた今後の国の舵取りを任せられる政治家はいるのだろうか。国民は今度こそお祭り騒ぎの総裁選で誤魔化されないように、総裁候補の資質を見極めることが重要だ。
そこで本誌・週刊ポストは、長年自民党政治を取材してきたジャーナリストや政治評論家、自民党OB政治家など7人の「政治のプロ」に名前の挙がっている総裁候補たちのなかから、「ポスト岸田の総理に選んではいけない政治家」を理由とともに挙げてもらい、ランキングにした。【全3回の第1回】
9月の総裁選に向けて走り出した自民党の有力候補たち
自民党は早くも9月の総裁選に向けて走り出した。
渡海紀三朗・政調会長が「これまでと違った選挙戦にする必要がある」と7月末にも総裁選選挙管理委員会を設置し、選挙期間を長く取る考えを表明。「総裁選が始まる前に次期総裁が密室で決められるのではなく、堂々と政策を戦わせる総裁選にしたい」(稲田朋美・幹事長代理)と執行部は準備に取りかかった。
有力な総裁候補も動いた。
「反岸田」の菅義偉・前首相が「(総裁選は)党を覆う嫌なムードを払拭する機会にしなければならない。自民党には若い優秀な議員が少なからずいる。おのずと意欲ある若手が出てくるのではないか」と岸田文雄・首相に事実上の退陣勧告を突きつけると、その菅氏と「HKT」トリオと呼ばれる党内実力者の萩生田光一・前政調会長、加藤勝信・元官房長官、武田良太・元総務相の会合に小泉進次郎・元環境相が出席し、「総裁選の対応を協議した」(菅氏と近い議員)と見られている。
さらに有力候補の石破茂・元幹事長は防衛費の更なる増額や社会保障改革、財政改革を総裁選の争点に掲げ、茂木敏充・幹事長は“党員票集め”の地方行脚に乗り出した。