1stツアーでギターをかき鳴らす粗品(本人のインスタグラムより)

1stツアーでギターをかき鳴らす粗品(本人のインスタグラムより)

自分を演じ分けることができる

 先輩芸人に対する敬意のなさ、または仲間との協調性のなさ、自分勝手……。 だがそれは粗品のほんの一面にしかすぎない。

 例えば自分の冠コーナー『粗品ゲーム』では意外とそつなく進行したり、『FNS逃走中』でも、いかに『逃走中』のファンだったかを独自の視点で熱く語っていた。他にも審査員を務めた『ハモネプ』の審査では、大好きな音楽への造詣の深さが分かるような、冷静な評価をしている。つまりそうした自ら火の輪をくぐりに行くような炎上気質とは裏腹に、自分を演じ分けることができるのが粗品なのだ。

 また同『27時間テレビ』の中では、長田から、『新しいカギ』メンバーでこの番組を担当できたことについて、粗品と2人で「ここまで来れた」と泣いたこともバラされている。スタート当初は視聴率が振るわず、演者もスタッフもピリピリしていたという『新しいカギ』。「学校かくれんぼ」という鉱脈で人気番組に成長していったのは周知の事実だが、粗品も番組が成長していくまでの裏方の努力を知っているだけに、感慨もひとしおなのだろう。意外と熱い男でもあるのだ。

 思えば、彼の姿はどこかかつての島田紳助氏やビートたけしにも重なる。たけしはかつて“欽ちゃん”こと萩本欽一に対して「お笑いのくせに、愛と涙ばっかしやりやがって」「お笑いなのに何にもギャグやんないんだから」などと公然と痛烈批判していた。紳助氏は新人の頃、かなりの生意気だったため、先輩から嫌われ、誰も食事に誘ってくれなかったことを明かしている。

 紳助氏とたけしに共通しているのは、世の中の偽善を暴く姿勢だ。「本当は誰しもが心の中で思っている」ようなことを的確に言ってのける、いわば人間の本質をあぶり出すような笑い。今の粗品に両名が持ち得ていた人気と実力があるかどうかはさておき、コンプライアンスに縛られるテレビ界にあって、自由に暴れ回ることができるのは、今や彼だけではないだろうか。もちろん、粗品の舌鋒を全面的に支持するわけでも肩入れするわけでもないが、不快に思う視聴者もいる一方で、喝破することのカタルシス、痛快さもある。テレビの中での発言が生ぬるくなりつつある今、自身のキャリアをも失いかねない危うさを持ち合わせる男から今後も目が離せない。

(ライター・飯山みつる)

関連記事

トピックス

結婚していたことがわかった蝉川と久保(時事通信フォト)
【松山英樹の後継者が電撃婚】ゴルフ蝉川泰果プロが“水も滴るCM美女”モデルと結婚「ショートパンツがドンピシャ」
NEWSポストセブン
80年代のアイドル界を席巻した
小泉今日子、中森明菜、松本伊代、堀ちえみ…令和に輝き続ける「花の82年組」 ドラマや音楽活動、現代アーティストとしても活躍中
女性セブン
目撃されたニセ警備員️(左)。右は看護師のコスプレで訪れていた女性たち
【渋谷ハロウィン】コスプレ女性をナンパする“ニセ警備員”が起こした混乱「外国人2人組が交番に連れていかれた」軽犯罪法違反に該当する可能性も
NEWSポストセブン
高市早苗氏が奈良2区に当選(写真/共同通信社)
〈自前のスープラ飾ってあるの草〉高市早苗が衆院選「当確発表」に映り込んだマニア垂涎「真っ白なスポーツカー」の正体
NEWSポストセブン
現実的な価格のホテル空室が見つからない(イメージ)
《外国人観光客が増加》日本人のホテル難民が大量発生 空き部屋があっても「スイートルームしかない」「大阪出張に和歌山のホテル泊」
NEWSポストセブン
刑務所で受刑者は反省するのか?(イメージ)
「後悔はするけれど反省はしない」「今度は捕まらないようにしようしか考えていない」元受刑者が語る刑務所で出会ったヤツら
NEWSポストセブン
“保育士中心チーム”をうたう「ビオーレ名古屋(Viore Nagoya)」2022年1月には、愛知県内の芸能プロダクションとパートナー契約も結んでいる
《SNSで大バズり》「インスタでは日本一」目前の”保育士中心”女子バレーチーム カワイイ売りの評判に「女を出してやっているわけではない」「選手がトントン飛びながら回っただけで…」
NEWSポストセブン
角川歴彦氏(左)と『人質の法廷』の著者・里見蘭氏が人質司法について語り合う
《東京五輪汚職で226日勾留》KADOKAWA元会長・角川歴彦氏が体験した“人質司法”の真相 小説『人質の法廷』著者・里見蘭氏と対談
週刊ポスト
長いシーズンを乗り越えた大谷、支えた真美子夫人(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャースタジアムへの出退勤のポルシェ運転は真美子夫人 常にバックで駐車する生真面目さ
女性セブン
”指ハート”をキメるアイドル時代の久保田陸斗容疑者(21)。首都圏で多発する強盗事件3件の実行役とみられている
「グループでも群を抜いて売れていなかった」『闇バイト』実行役は“メン地下”アイドルだった久保田陸斗容疑者(21)カネに困っていて「おバカキャラ」証言
NEWSポストセブン
泥酔して転倒する女性
【渋谷ハロウィン】「日本語で叫ばれてもわからない」下半身丸出しで「ギャー!」嬌声を上げる外国人女性も…深夜の道玄坂で起こっていた「飲酒狼藉」
NEWSポストセブン
あごひげを生やしワイルドな姿の大野智
《近況スクープ》大野智、「両肩にタトゥー」の衝撃姿 嵐再始動への気運高まるなか、示した“アーティストの魂” 
女性セブン