救急車で運ばれたら大恥でした(苦笑)
その予感が的中し、正代が溜席に飛び込んできたわけだ。大村さんが続ける。
「たまたま隣に座っていた女性がトイレに行かれたんですよ。なんでこんないい取組の時にトイレかな、と思ったんですが、それがよかった。女性が席を空けて2つ目の取組で隣の空いている席に正代関が倒れ込んできたんです。ボクは花道に面した席で、そちらに倒れたので腕や足にかすったぐらいでしたが、女性があの席に座っていたらペッシャンコ。救急車ですよ。もう奇跡としか言いようがない。
ボクは逃げたつもりが倒れたように見えたので、みんなは当たったと思ったようです。土俵回りのカメラマンがレンズを向けるから、両手で大きな輪を作って“大丈夫”とやったんですよ。するとこれがウケたんです。舞台でもあんなにウケたことがないぐらい歓声と拍手をもらいましたよ。もしペッシャンコになって救急車で運ばれていたら、92にもなって大恥です。芸能界におられませんで(苦笑)」
隣の女性といい、大村さんといい、ひとつ間違えれば大惨事になっていた。
「あの溜席というのは、警戒していないといけない。相撲に集中していないと大変なことになる。正代関が何度も“大丈夫ですか”と聞いてくれたが、力士にも申し訳ないしね。ずっと後で部屋に稽古見学に行った時に、宝富士関も落ちてきたことを覚えてくれていたからね。落ちたほうも気にしてくれているんですよ」
92歳の大村さんを心配する声がSNSであがっていると伝えると、「前回はまともに当たってしまったが、あの頃はライザップに通ってなかったからね。今はあの頃より機敏です(笑)。心配おかけしましました」と元気に笑ってみせた。
これに懲りることなく本場所に通うとのことだった。