その日は明確な拒否がなく、男性は「性交渉を受け入れてくれた」と思っていたとしても、後になって女性が「同意していなかった」と訴えた場合も、「不同意性交等罪」に問われる可能性がある。だからこそ富永氏は、「次に挙げる性的同意の4つのポイントをかならず理解してほしい」と強調する。
【1】ノーと言える環境が整っていること
【2】社会的地位や力関係に左右されない対等な関係であること
【3】いつでも「やめて」と言えること
【4】したい、という明確で積極的な同意があること
「嫌だと感じたらどんなときでも拒否できる状況でなければなりません。また、上司と部下といった上下関係や利害関係を意識した性行為では性的同意は成立しないので、とくに上の立場にいる男性には充分な配慮が求められます」(富永氏)
3つ目の「いつでも『やめて』と言えること」は、“いつでも”が重要なポイントだという
「“キスはしたけどセックスはしたくない”“昨日はOKだったけど今日は嫌”ということもありえます。セックスの際にはその都度、女性に気持ちを確認することが求められます。女性が嫌々ではなく『積極的に合意』し、意思表示していることも確認しなければいけません。
愛想笑いでさえ“好意を持たれている”と思い込む男性もいますからね。日本は欧米と違いイエスとノーを曖昧にする表現に慣れてきたので、男女の行き違いが多かった。契約のように感じるかもしれませんが、これが現代のスタンダードなのです」(同前)
(後編へ続く)
※週刊ポスト2024年8月2日号