この夏ドラマで話題を呼んでいるのが、月9『海のはじまり』(フジテレビ系)だ。妊娠が1つの題材となっているが、その翌日火曜日のフジテレビのドラマ『あの子の子ども』でも高校生の妊娠がテーマになっている。異例とも言える“妊娠ドラマリレー”。その背景にあるものとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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4週連続Xの世界トレンド1位やTVerの再生数などから、『海のはじまり』(フジテレビ系、月曜21時)が夏ドラマ最大の話題作となっているのは間違いないでしょう。月9ドラマ『海のはじまり』は、ヒット作『silent』(フジテレビ系)のスタッフが再集結し、目黒蓮さんが主演を務めるオリジナル作品です。
注目すべきは、放送前の予想をはるかに上回るシビアな世界観。「さまざまな形の“親と子”のつながりを通して描く、愛の物語」とハートフルなムードを掲げながら、主人公・月岡夏(目黒蓮)と大学時代交際していた南雲水季(古川琴音)の妊娠と中絶同意を経ての出産、現在の恋人・百瀬弥生(有村架純)の妊娠と中絶の過去、さらに水季の母・朱音(大竹しのぶ)の不妊治療などが扱われています。
気になるのは、同じフジテレビ系で放送されている『あの子の子ども』(カンテレ制作、火曜23時)。こちらは高校2年生の川上福(桜田ひより)が妊娠し、戸惑いながらも懸命に現実と向き合おうとする姿が描かれています。
つまり、「『海のはじまり』が大学生、『あの子の子ども』が高校生の妊娠を真っ向から扱った作品」ということ。しかも同じフジテレビ系で月・火曜の連日放送するという異例の編成に驚かされます。なぜ今夏、両作の“妊娠ドラマリレー”が行われているのでしょうか。