岸田首相が後継指名した上川氏が総理・総裁になれば、いわば岸田首相と麻生氏の“傀儡”であり、上川内閣は事実上の“第3次岸田内閣”の性格を持つ。岸田首相にすれば、総裁再選はできなくても今後はキングメーカーとして政治的影響力を残すことができるという計算のようだ。
だが、国民から見れば、それではあまりに虫が良すぎる。有馬氏もこう指摘する。
「上川氏は少し前までは初の女性総理候補として期待が高まっていたが、5月の静岡県知事選での自民党推薦候補の応援で、『この方を、私たち女性が生まずして何が女性でしょうか』と発言した騒動をきっかけに急速に期待がしぼみ、世論調査の総理にしたい政治家でも下位にとどまり、石破氏や河野氏らに大きく水をあけられている。『初の女性総理』アピールだけで決選投票に勝てるとは限らないのではないでしょうか」
国民の信頼を失った岸田首相が、傀儡の女性総理候補を擁立して生き残ろうとしても、国民は納得しない。
上川氏が本気で「初の女性総理」を目指すのであれば、まず、岸田首相との“絶縁”を宣言し、傀儡ではないことを示したうえで出馬しなければ、総裁選でも、国民からも正当な評価は得られないはずなのだ。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年8月9日号