1987年に刊行された内田春菊氏の人気漫画『南くんの恋人』(青林工藝舎刊)は、1990年からこれまで4度にわたってドラマ化され、2024年7月期、男女逆転版の『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)として復活。大人も楽しめる内容になっていると評判だ。その理由について放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。
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『TBSスター育成プロジェクト 私が女優になる日』で約9000人の中から1位に選ばれて芸能界入りし、“『VIVANT』(TBS系)女優”として知名度を上げた飯沼愛が主演。相手役は『ViVi』 の「国宝級イケメンランキング」NOW部門に2023年下半期と2024年上半期で連覇し、殿堂入りしたFANTASTICSの八木勇征という7月期を代表する“夏の胸キュンドラマ”が『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)である。
加賀まりこ、木村佳乃、沢村一樹…脇を固める俳優たちは豪華
だが、「確かに構えは“キュンドラマ”なのですが、ファミリーでも見られる“ホームラブコメディ”という形で売っています」とは同局関係者だ。
タイトルを聞けば、TBS系、フジテレビ系、テレビ朝日系で放送され、ヒロインの「ちよみ」を石田ひかり、高橋由美子、深田恭子、山本舞香らが、「南くん」を武田真治、二宮和也、中川大志らが演じた『南くんの恋人』を思い浮かべる視聴者は多いだろう。今回は、『南くんが~』という【男女逆転バージョン】。
”ホームラブコメディ“から想定される視聴者層には、テレビ朝日の火曜9時枠のメインであるF3層やF4層(50歳以上の女性)も加わっている。。(以下、ネタバレあり)
第1話でも語られていたが、飯沼演じる「ちよみ」の家族関係はかなり複雑。かつて「南くん」を演じた武田真治は、母(木村佳乃)の再婚相手なので、ちよみにとっては義理の父。木村が務める美容室『ガーベラ』の隣で焼き鳥店『信真』を営んでいる。天才子役として知られる番家天嵩は武田の“連れ子”で、ちよみの義理の弟にあたる。
祖母役で『ガーベラ』の“大先生”は加賀まりこ。木村の元夫役で、ちよみの実父役は、『帰れマンデー見っけ隊!!』、『10万円でできるかな』『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』など同局のバラエティ番組でもおなじみなサンドウィッチマンの富澤たけしだ。
一方、南くん=八木の父親役は、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)で「ライアン」こと久藤頼安を好演したことが記憶に新しい沢村一樹で、他界した母親役は『あまちゃん』(同)でユイ(橋本愛)の母親役が印象的だった八木亜希子。
他にも、ちよみが通う高校のバスケ部コーチ役に光石研、『ガーベラ』や『信真』の常連で、近所で手芸店を営むのは室井滋という、特にテレ朝のドラマには欠かせない名優らが多数出演しているのも、前述のF3、F4を意識したキャスティングと言えるだろう。