ドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系、2023年)や『イップス』(フジテレビ系、2024年)の主題歌に起用されるなど、いま注目の歌手AARON。音楽活動を始めてわずか3年足らずで目覚ましい躍進を見せた彼だが、ここに至るまでには奇跡が重なった波乱万丈なヒストリーが隠されていた。初のソロライブを前に、デビューしてからの変化や「これから」について聞いた。(前後編の後編)
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──“偶然”の出会いを“必然”に変えてしまうパワーがすごいですね。ただ、音楽未経験者がどうやってキャッチーなメロディーを作れたのでしょうか?
「ピアノもギターも、楽器はなんもできないんですけど、できないからこそ、いままで売れてきた曲や自分がよく聞く歌、いいなと思う曲を客観的に分析できるし、こういうメロディーはみんな好きだろうと客観的な視点で楽曲制作できると思っています。サビの部分は複雑なメロディーを使わず、お子さんでも1回聞いたら歌える曲を作りたい。「ザ・ミスターキャッチー」と呼ばれたくて(笑い)」
──AARONさんのピースフルでキャッチーなメロディーと甘い歌声、癒しの笑顔、気さくな人柄は路上ライブでも瞬く間に話題となりました。最後の路上ライブは1000人集客されたとか。
「そうなんです。路上ライブはずっとしたくて。TikTokで“歌ってみた”動画をあげたらちょっとバズってフォロワーが1万人くらいになったので、ファンがついたタイミングで始めました。2022年5月14日から12月30日まで、計36回やりましたね。
最初のうちは7〜8人しか集まらなかったのに、なぜか大阪だけ40人くらい集まってすごく賑わった路上ライブになったんです。調べたら、Instagramって大阪何%、東京何%って地域ごとのフォロワーの割合が見られるんですけど、大阪が多かったんです。だからそこでフォロワーが多い都市、5都市だけを回るようにして、ファンの皆さんにSNSで拡散してくださいってお願いして、僕もその動画を発信したりしました。気づいたら最後は1000人近くの人が集まってくれるようになって、嬉しかったですね。そこから現在の事務所の社長さんが声をかけてくださって、メジャーデビューが決まったんです」
──ファンサービスには8時間かけたこともあったと聞いています。そこまでファンを大事にするアーティストはなかなかいないです。
「いや、ぼくがすごいんじゃなくて、待っていてくださるファンのかたの方がすごいんですよ! そういえば、そこでもミラクルな出会いがあったんです。とあるおばあちゃんがライブに車椅子で来てくれたんです。だからおばあちゃんちょっと前へって呼びかけて、ファンのみなさんも協力してくれて見やすい場所に来ていただいて、ライブが終わった後には写真を撮ったりしていたんです。そしたらおばあちゃんが指輪をプレゼントしてくれて。だからぼくも自分の指輪を取って交換しましょうってプレゼントしたんです。
で、その後『それってパクリじゃないですか?』の現場挨拶に行かせていただいたとき、プロデューサーさんと一緒に女性がいらしたんです。聞いたら、おばあちゃんの車椅子を押していた女性で、実は日本テレビの救護センターに勤めているらしくて「あの時は優しくしてくれてありがとう」とお礼を言いに来られたんです」