スポーツ

《酷暑の試合は限界か》夏の高校野球で足がつる選手が続出、熱中症対策はもはや付け焼き刃 審判や応援の生徒らも倒れる事態に

第105回全国高校野球選手権大会の開会式(2023年8月6日)で、水分を補給する選手(時事通信フォト)

第105回全国高校野球選手権大会の開会式(2023年8月6日)で、水分を補給する選手(時事通信フォト)

 日本の観測史上もっとも暑い夏(6~8月)だった2023年の翌年なら、少しは暑さがおだやかなのではないかとの期待も虚しく、2024年も「十年に一度」レベルの猛暑がやってきている。熱中症警戒アラートが発令され「外出は控えて」「屋外での運動はやめて」などの呼びかけが行われる一方で、夏の甲子園大会を目指す予選が全国各地で行われている。クーリングタイムの導入など様々な対策がとられているが、実際に試合に関わる当事者たちはどう思っているのか。高校野球観戦を続けているライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 高校野球、夏の甲子園大会がいよいよ開幕する。全国の厳しい予選を勝ち抜いてきた代表校による、灼熱の中での熱い戦いは、いつの時代でも見る者を感動させてきたが、この数年の「暑さ」はワケが違う。関東南部にある公立高校野球部のS監督(50代)が訴える。

「試合に負けてしまったのは仕方ありませんが、最後の最後、守備の選手の足がつってボールを追いかけることができず、そのまま敗戦でした。このような環境じゃなければ、もう少し長く、子供達も野球ができたのではと思ってしまう。選手だけでなく、応援席の生徒、観客のことを考えても、開催時期についていい加減、しっかり対策をとる時期になっているのではないかと思います」

 S監督が率いるチームは、予選で強豪私立校にコールド負けを喫した。コールドが決まった最後の一点は、大きく打ち上がったボールを追いかけた外野手の足がつり、その場に倒れ込んでしまったことで失った。確かに負けたことは事実だが、コールド負けは想定外だったとうなだれる。力が及ばなくても、少しでも長く野球をしたいのが当事者の本音だろう。

「その試合の日は、朝から気温が30度を超えていました。我々だって暑さ対策も考慮した練習をしていますが、それでも両チームに、足がつる選手が続出。3回ごとに“給水タイム”はありますが、それでも両チームで7人の足がつって、治療時間など含めて30分以上かかったんです」(S監督)

 S監督によれば、本番の暑さ対策に、ユニフォームの下に履くストッキングを二枚重ねにしたり、分厚い練習着を着るなど、暑さに慣れるための考えられる様々な対策を実施してきた。だが、年を重ねるごとに「対策が無駄ではないか」と考え、人間が慣れるにも限界があると思うようになった。

見る側、応援する側としても辛い

 直前に行われた別の試合でも、やはり両チームに同様の選手が続出していた。救護が必要なのは弱小校の選手だけでなく、大きな負荷をかけた練習を重ねて鍛えた選手がそろう強豪校であっても、関係無く起きている。そんな様子を見たS監督は、こんな条件で試合をしても「もはやまともな野球ができない、練習の成果を発揮できない」と感じたという。

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン