毎年、大いに盛り上がる高校野球。甲子園からはこれまで数々のスターが生まれている。なかでも女性ファンのハートをわし掴みにしたのが、アイドル球児と呼ばれる存在だ。野球実況歴44年で、実況家の小野塚康之さん(67才)はこう話す。
「元祖アイドルは、三沢高校の太田幸司さん(72才)だと思います。肌がきれいで目が澄んでいて、汗がサラッとしているように見えました。
早稲田実業高校(以下、早実)の荒木大輔さん(60才)は、大ちゃんフィーバーを起こし、ハンカチで汗を拭いて話題となった早実の斎藤佑樹さん(36才)など、何人もの選手が社会現象を起こしています」(小野塚さん・以下同)
また、作新学院の江川卓さん(69才)や、PL学園の桑田真澄さん(56才)、清原和博さん(56才)、横浜高校の松坂大輔さん(43才)など怪物と呼ばれる選手も現れた。彼らの多くはその後、プロ野球選手となり、球界に名を残す存在となっている。そんな中、甲子園では思ったような活躍ができなかったにもかかわらず、小野塚さんの心に強烈な印象を残したのが、花巻東高校時代の大谷翔平選手(30才)だ。
「大谷選手は、2011年の大会の1回戦で帝京高校と戦ったのですが、そのときは足のけがで万全とはいえなかったため、試合前の練習でも外野を守っていました。
ところが練習の最後、外野からホームベースに向かって投げるバックホームの球を見たとき、あまりの速さに、解説者と『何!? いまの球? 投げたの誰?』と顔を見合わせました。背番号を見ると1番で、“あれが噂の大谷翔平か!”と、背中がゾクッとしたのを覚えています」