エース・宮田笙子(19)の飲酒・喫煙問題によって、他国より1人少ない、岸里奈(16)、中村遥香(16)、岡村真(19)、牛奥小羽(19)の4人で出場という異例の体制でパリ五輪に臨んだ日本女子体操団体。結果は予選を5位で通過、決勝では8位に終わった。スポーツ紙記者が語る。
「この結果について、テレビや新聞は『予選を見事通過』『4人で戦い抜き健闘』などと報じましたが、決勝に進んだ8チームのなかで159.463点の最下位。ミスも目立ちました。前回の2021年の東京五輪では5位でしたが、順位を落とす結果となりました。
団体総合は、各4種目(跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆか)を予選では1チーム(5人)のうち4人、決勝では3人が演技します。そのため、全種目で高い得点を出せる宮田のようなオールラウンダーがメダル獲得には不可欠ですが、宮田を欠いてスコアが伸び悩んだ。通常は5人のメンバーで戦うため1人1人の負担が大きくなる中、牛奥のような跳馬のスペシャリストがほかの種目に出場しなければならなかったことも厳しい戦いでした。予選では、宮田が出場した場合に比べて総得点は3点以上低くなったともされます。正直、宮田がいればもっと好成績だったと考えてしまいます」
決勝の入場では宮田のゆかのフィニッシュポーズで登場するなど、エース不在を乗り越えるアピールも見受けられた。
メンバーたちは、「みんなで声を掛け合いながら応援しあってできたということがよかった」「たくさんの人たちへの感謝の思いを表現できたのではないかと思う」「一回り大きくなったと思います」というコメントも残した。
「これまでの体操女子チームは、ベテラン選手に若い選手たちがついていっていましたが、今回の女子チームは全員10代に世代交代した。そうしたなかで、今年4月の全日本大会選手権で初優勝、5月のNHK杯で3連覇を果たした実力の持ち主である宮田がリーダー役を担っていた。
宮田の出場辞退後は、代わりに最年長の牛奥がチームを引っ張り、大会後は『楽しめた』ともコメントするなどリーダー不在の逆境で残されたメンバーに結束力は生まれたのかもしれませんが、実際は体力的にも精神的にも気が抜けない戦いだったでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
結束力を得ることの代償も大きかった。
※週刊ポスト2024年8月16・23日号