飛込台の真横から採点する審判員。演技時間は2秒足らずだ(2020年の飛込日本選手権。時事通信フォト)

飛込台の真横から採点する審判員。演技時間は2秒足らずだ(2020年の飛込日本選手権。時事通信フォト)

国際試合でも“えこひいき”が常態化

「ジャッジ」と呼ばれる審判員7人はプールサイドの左右に分かれ、入水地点を真横から見るような配置につく。そこに据えられた座面高2メートル以上の椅子(1メートル板飛込は通常の椅子)に着席する。審判は手元の自動記録装置で得点を入力し、それが瞬時に場内の電子掲示板に表示されるが、その採点は審判員から見えない。どの審判員が何点をつけたか、互いにわからないようにするためだ。

 7人の審判員とは別に「レフェリー」と呼ばれる審判長もいる。競技を統括する責任者で、笛で合図して競技の進行を促す。また、ジャンプや助走などにルール違反があればそれを指摘するのも審判長の役割だ。

「飛込台の上に立つと、左右に審判員が目に入ります。私は現役が長かったので、“あの審判員は評価してくれている”とか、“あっ、いつも低い点をつける審判員だ”というのがわかりましたね」

 基本的に審判員は元競技者なので、先輩後輩の関係も影響しがちだという。

「私は(飛込があまり盛んではない)関西学院大の出身だったので、審判員に先輩がいるということは滅多にありませんでしたが、“早大閥”や“日大閥”はありましたし、特に日体大の出身者は多かったですね。飛込台の上から眺めて“審判長を含めて日体大が3人もいる。今日は負けたなぁ”と思ったりもしましたよ(苦笑)。

 日本選手権では出場選手と同じ大学の出身者であっても審判ができます。そんなことを言い出すと審判員が足りなくなってしまいますし、採点競技である以上、身びいきがあるのは仕方ないと割り切っていました」

“身びいき審判員”の技術とは

 国内でもこうなのだから、国際大会ともなるとさらに激しくなる。

「現役時代に採点競技のつらさや理不尽さを感じていたので、自分が審判員になったら公平に点数をつけないといけないと心掛けていました。それでも国際試合では日本人選手にいい得点をつけてあげたいと思ってしまうものです。

 それはどこの国の審判員も同じだと思います。12人が出られる決勝では自国選手が出場している審判員は除外されますが、予選と準決勝では自国の選手の審判員を務めることもあります。もちろん他国選手の演技に対して故意に点数を下げることはありませんが、日本人選手にはどうしても採点が甘くなる。決勝で自国選手の審判ができないというルールは、言い換えると“えこひいき”が常態化しているともいえますね」

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