「かつての自民党は総理大臣が交代するたびに政治志向が変わることで、疑似政権交代と言われるような、党が生まれ変わったような効果がありました。本来であれば、岸田さんの出身派閥の宏池会(岸田派)はハト派で安倍晋三・元首相の路線とは違うはずだった。ところが、岸田さんは総理になると防衛費を増額するなど安倍政権の亜流のまま政治を進めてきた。安倍さんみたいな政治だけど安倍さんではない。そこが国民から評価されなかったのではないか」
岸田首相に残された道は限られていると語る。
「菅さんが盛んに発信しているように、今のままでは選挙を戦えないというのは党内の大方の見方でしょう。アメリカ大統領選ではバイデン大統領が自ら撤退を表明したように、岸田さんも、という声はあります。でも状況が違うのは、バイデン氏にはハリス副大統領という後継候補がいた。岸田さんには後を託せる人も、党内で一致して推せる後継候補もいません」
だからといって岸田首相が決断できなければ、次の総選挙で「15年前のような政権交代が起きても不思議ではない」と警鐘を鳴らす。
取材/相澤冬樹(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2024年8月16・23日号