ライフ

駐日ジョージア大使が感心した「気持ちを伝えるための日本人らしい方法」とは【連載「日本語に分け入ったとき」】

日本語も母国語だというレジャバ大使

日本語も母語とせず日本で活躍し日本に深い理解を持つレジャバ大使

 日本語を母語としないながらも、今は流暢でごく自然な日本語で活躍している外国出身者は、どのような道のりを経てそれほどまで日本語に習熟したのか。日本語教師の資格を持つライターの北村浩子氏がたずねていく。最終回は、SNSで33万人以上にフォローされる「広島育ちのバズる駐日ジョージア大使」ティムラズ・レジャバさんにうかがった。【全4回の第3回。第1回から読む

 * * *
 日本語らしさと言えば、以前、日本語学校の留学生にこう言われたことがある。「英語は汚い言葉もたくさんあるけど、賞賛する言葉もたくさんある。日本語は、汚い言葉も少ないけれど褒め言葉も少ない。会話で使う日本語は、汚い──きれい、の幅が狭いような気がする」と。

 その話をすると、「ああ、確かに」と大使はうなずかれた。

「外国語を覚えるに当たって、まず知りたいのは汚い言葉ですよね(笑)。そこが興味の入り口になる。ジョージア人にも『日本語の汚い言葉って何?』と聞かれることがあるんですが、『うーん……「バカ」くらいかな』と答えると『え、それだけ?』と結構がっかりされます(笑)。なので、こう説明します。『日本人はみんなとても礼儀正しいからこそ、「バカ」ってひとこと言うだけでも最大の侮辱になるんだよ』と。彼らはびっくりしますが、感心もします。

褒め言葉が少ないのは、日本が『個』より社会を重視してきたからでもあると思います。日本語は、主観的な言葉が弱い。素晴らしい、と言ったとしても、それはその人の主観が強く出ているというより、一般的な評価を含んだ表現ですよね。相手のことを良く言いたい、褒めたいと思うと、なにかプライベートな感じが出てしまったり、過剰な親密さがあらわれてしまったりするのじゃないかと考えて悩んでしまう。最適な言葉が見つからず、もどかしく思うこともあります」

 そう、特に意見や評価を端的に言いたいとき、日本語はちょっと不自由だな、バリエーションが少ないなと感じることがわたしにもある。たとえば映画の感想を聞かれて、悪くなかったと思ったら、それがどんな内容であろうと「面白かった」で済ませてしまえる。「興味深い」も「笑えた」も「考えさせられた」も「面白い」には含まれているから。でも、もっと深い気持ちが心の底には横たわっているはずだ。それを言い表す言葉を、知らないわけではないのに「常備」していないような気がする……。

 そんなことを少し話したら、大使はこうおっしゃった。

「だからこそ日本には、いろんな場面で物が登場するんです」

関連記事

トピックス

交際中とみられる柏木由紀とすがちゃん最高No.1
《熱愛スクープ》元AKBの柏木由紀(33)と「ぱーてぃーちゃん」すがちゃん最高No.1(33)が交際「ラブ&ゲッチュな存在です」直撃取材に笑顔で回答
NEWSポストセブン
打ち上げにて、斜め向かいの席に座る、すがちゃんと柏木。言葉を交わす場面も多かった(2024年8月撮影)
《ツーショット》元AKB48・柏木由紀に人気チャラ男芸人との熱愛発覚、早朝4時の「ラブラブ帰宅シーン」
NEWSポストセブン
韓国、ソウルで行われたディープフェイクを用いた性犯罪への積極的対策を求める緊急集会(AFP=時事)
《韓国では知り合いの写真や卒アルから作成、拡散も》一般人も未成年も被害者となるディープフェイク性犯罪の卑劣さ 元アイコラ職人「タガが外れたなという感じ」
NEWSポストセブン
佳子さま、手話を使う人々の間で“アイドル的存在”に 『オレンジデイズ』『星降る夜に』の手話監修者が明かした「佳子さまの手話」の美しさ
佳子さま、手話を使う人々の間で“アイドル的存在”に 『オレンジデイズ』『星降る夜に』の手話監修者が明かした「佳子さまの手話」の美しさ
週刊ポスト
秋場所
秋場所の向正面に「溜席の着物美人」が! 盛夏に着る薄物で観戦の理由を本人明かす「異常な暑さで館内の熱気が凄い」「後半戦は単衣にしたい」
NEWSポストセブン
未成年誘拐の容疑で逮捕された小坂光容疑者(26)と、薬物中毒で亡くなったAさん
「春先から急に“グリ下”に......」「若い中高生らを集めて遊んでいた」未成年3人誘拐の小坂光容疑者のSNSに残されていた「亡くなった女子高生の青い舌」
NEWSポストセブン
藤澤五月(時事通信フォト)
ロコ・ソラーレに新たな筋肉ムキムキ選手、藤澤五月超えの“肉体”目指す人気選手 ボディビル系トレーニングを控える「暗黙の了解」
NEWSポストセブン
事件に使用された銃(時事通信フォト)
「生きとったんか!」山一抗争で山口組組長を射殺したヒットマン部隊直属の指示役が逮捕されヤクザ界騒然 指名手配され約40年行方不明だった男の“数奇な運命”
週刊ポスト
郵便局員が郵便物を配達せず捨てていたことが判明(時事通信フォト)
約3000通の郵便物を捨てた10代新入社員、背景に「昼休みを取れず残業が横行…」元職員が明かす“ブラック職場”疑惑 日本郵政は「労働力の確保に苦労している」
NEWSポストセブン
制度的に辞職に追い込む方法はあるのか(時事通信フォト)
“無敵の人”斎藤元彦・兵庫県知事、強制的に辞職させるのは簡単ではない 不信任決議には「議会解散」、リコールには「66万人の署名」の高いハードル
週刊ポスト
カラになった米売り場の棚(AFP=時事)
《令和の米騒動リポート》足りないのは安い米?米は本当に不足しているのか 米農家は「価格の知覚がおかしな消費者が増えた」と悲痛
NEWSポストセブン
小柄女性と歩く森本レオ(81)
《今でも男女は異文化交流だと思う》森本レオ(81)が明かした世間を騒がせたスキャンダルの真相「女性に助けられた人生でした」
NEWSポストセブン