──拒否反応を示してしまったんですね。
「そう。でも、ディレクターが『とにかく一度だけ歌ってみてよ』と言うので、歌ってみると、一発でOK。でも私自身、何となく違和感があり『もう一度歌わせてください』とお願いしました。それは『ワン・トゥー、ワン・トゥー』という英語的な発音を『ワン・ツー、ワン・ツー』と日本語的な発音に直し、一部分に演歌で慣らした“コブシ”を入れてみました。私なりの小さな抵抗だったのです。その2度目の録音が世の中に出ました。レコードジャケットはマーチングバンドのような衣装。なんとミニスカートを履いています。もうこの頃はレコーディングも終わって『なるようになれ!』と思っていました(笑)」
──歌手活動にとどまらず、1970年には最高視聴率56.3%を記録した国民ドラマ『ありがとう』(TBS系)で主演を務められました。当初、オファーを断っていたというのは本当ですか?
「当時、歌の仕事で忙しく、とてもドラマなど引き受けられる状況ではありませんでした。そのときに歌番組でテレビ局に行くとトイレの前に必ず立っているご婦人がいるのです。そのご婦人が『チータ、ドラマやらない?』と毎週、毎週、必ずトイレの前に……。
1カ月ほど経ったある日、今日こそキッパリとお断りしようとトイレに向かいました。やっぱりご婦人が立っていらっしゃる。私は『ドラマはやりません! ドラマというのは美人の方がおやりになるものでしょう?』と。そうしたらそのご婦人は『チータ! あなたは美人じゃないからいいのよ』と、仰るんです」