プロ野球のレジェンドたちに令和の日本球界の課題を聞いていく本誌・週刊ポストの名物企画「言わずに死ねるか!」球界編。通算1065盗塁の「世界の盗塁王」であり、先頭打者本塁打43本、通算三塁打115本などの日本記録を持つ福本豊氏(76)に、今季の「投稿打低」について、どのような見解なのかを聞いた。【全5回の第2回。第1回から読む】
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今シーズンはどのチームも得点力不足で極端な投高打低。たしかにピッチャーのボールが速くなったとは思うけど、ボクはバッターの打ち方が変わったんちゃうかなと思っている。
あんなアッパースイングではなかなかボールには当たらへんわな。“フライボール革命”とか言って打球に角度を付けようとしているのか、大きいのを打つことを意識しすぎているのかわからんが、バットが下から出ている打者が多い。あれじゃ速いボールには振り遅れるし、甘い球も打ち損じてしまう。
昔から速いピッチャーはそういうスイングをさせて空振りを取ってきた。阪急の山口高志や巨人の江川卓がそう。高目の速いストレートを投げ込み、下からバットを出させて空振りさせていた。
いつの時代も打撃の基本はレベルスイングで振り抜くこと。レベルスイングでストライクゾーンだけ振れば、打率が2割台前半になることはない。ストライクを振らんことにはヒットになりにくいわな。ボールをボンボン振る人は率が悪い。
もちろん打てない時は練習しかない。ボクが教わった西本幸雄さんがそうだったけど、どうやればバットがレベルに出るのか、徹底的にバットの振り込みをさせられたものです。バットがレベルに出るのか、下から出るのかでは大違いやからね。