坂本は辞めればいい
巨人のエースといわれた菅野智之がリーグ単独トップの11勝を挙げたと騒がれているが、なぜ6番手に出てくるのか。これが今の野球のすべてを物語っている。自分が一番やれるピッチャーなんだったら1番手で投げるという気迫がないと。リーグ単独1位の勝ち星といっても、一流のピッチャーと対戦したわけじゃないでしょう。
坂本はスタミナがないから、休み休みでしか試合に出ることができない。6億円ももらっている選手がベンチで休んでいるんだから、他の選手も安心してベンチに座っていますよ。これは坂本が悪いんじゃなく、ベンチの指導者が悪い。
昔の人は今までのプレーができないと言って辞めた。それぐらいプライドがあった。坂本も一刻も早くやめりゃいいんですよ。惜しまれながら去るという言葉を忘れているよ。今の選手はお金を大事にする。3000万円ぐらいなら道を間違えないだろうが、5億も6億ももらっていたら間違うよ。
坂本には若い時に教えたことがあるし、十分な素質があった。その後も順調に育ったが、年齢を重ねてこうなったら、言うべきことを言わないと伝統が泣く。巨人の伝統は他のチームと違って厳しいんだよ。どんどん新しい選手が出てきて、世代交代をしていく。そして惜しまれながら引退していく。これが巨人の伝統なんです。
それを使い勝手のいい選手を使い、他球団で育った選手を獲って喜ぶ。バカじゃないか。それでも足りないと外国人選手を獲る。13年間お世話になった巨人だが、最近の巨人を見ていて情けないよ。
(第4回へ続く。第1回から読む)
【プロフィール】
広岡達朗(ひろおか・たつろう)/1932年、広島県生まれ。華麗な守備で現役時代は長嶋茂雄氏と球界屈指の三遊間を築く。監督としては万年Bクラスだったヤクルトと西武を率いて3度の日本一に導いている。
※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号