プロ野球のレジェンドたちが令和の日本球界に喝を入れていく、本誌・週刊ポストの名物企画「言わずに死ねるか!」球界編の第3回は、広岡達朗氏(92)が登場。現役時代は華麗な守備で魅せる巨人軍の名ショートとして鳴らし、選手兼任コーチとしては巨人V9の礎を築いた。だからこそ、令和の巨人軍に対しては厳しい目線を向けている。【全5回の第3回。第1回から読む】
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6月26日に坂本勇人が登録抹消されて、ファーストに回されていた岡本和真が本来のサードに戻った。それで巨人は岡本を中心に再スタートを切るのかと思ったら、7月に戻ってきた坂本を再びサードに起用した。こんなのプロの野球じゃないよ。ひとつのポジションを命がけで奪うというチーム内競争がない。そんな野球をして人が育つと阿部(慎之助)監督は思っているのだろうか。
岡本は巨人の看板選手じゃないのか。それを今度はレフトに回した。内野手が外野を守ったら遊びです。オレなら目をつぶっていても打球を捕れるよ。これで岡本の守備がうまくなるはずがない。首脳陣が都合よく使っているだけ。岡本がキャンプで必死に特守を受けてきた意味が全くない。
人間は生まれたら死ぬ。それと同じ自然の掟で、若い頃はいい選手でも、必ず衰える。三冠王を獲った落合(博満)がなぜユニフォームを脱いだのか。それは落合が悪いのではなく、自然の掟がそうなっているんです。それをわからずにやっているのが原(辰徳前監督)巨人の野球だった。そこから阿部がどういう形でベテランを干すか。そこが今シーズンの見どころだったはずだ。
ところがどっこい、ベテランを干すどころかむしろどこまで頼るんだという野球をしている。坂本も若い頃はいい選手だったが、35歳を過ぎれば自然の掟で衰えてくる。もはやスタミナがない年齢なんですよ。それがわかっとらん。本人も首脳陣までもがいつまでもできると思っている。新聞も坂本が2か月ぶりのタイムリーを放ったと騒ぐ。実に情けない。