ドジャース・大谷翔平(30)の元通訳・水原一平被告(39)が違法賭博に関与した事件で、元締めの米国人、マシュー・ボウヤー被告(49)が8月9日(現地時間)、米カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁に出廷。違法なスポーツ賭博を運営した罪などを認めた。ロサンゼルスでカジノスタッフを務めるボウヤー被告の知人女性はこう語る。
「私はボウヤー氏と11年間付き合いがありますが、違法賭博の元締めだったことは知らなかった。ブラジリアン柔術や人工芝に関するビジネスなどをいくつかやっていたことは知っていますが、ほかのことはわかりません」
ボウヤー被告が合意した司法取引の文書を読み解くと、〈賭博ビジネスには700人以上の顧客がいた〉〈顧客の一人は野球選手の通訳とマネージャーをしていたI・M〉とある。I・Mとは水原被告のことで、少なくともボウヤー被告を通じて1万9000回の違法賭博を行ない、大谷の口座から約25億円を不正送金したことが認められた。
さらに、顧客リストにはプロ野球選手が2人含まれていたこと、彼らが野球にも賭けていたことが記されている。
現地メディアによると、1人はエンゼルスに所属していた大谷の元同僚、デビッド・フレッチャー(30)。もう1人はフレッチャーの親友で、ロイヤルズのマイナーでプレー経験があるコルビー・シュルツ(29)とみられる。フレッチャーはこれまでボウヤーとの賭博関与を否定し続けていたが、ボウヤーがこれを認めたことで、状況が進展するかもしれない。
一方、5月に司法取引に応じた水原被告は、その後ウーバーイーツの配達員に“転身”していたことが話題になって以降、現地でも動向が報じられていない。
司法取引の資料からは、量刑が(初犯の場合)4年9か月から5年11か月の範囲であれば、異議申し立てをしないことで合意していると読み取れる。
ウーバー配達は保釈の条件であった「就労の継続」のために取り組んでいたと思われるが、その後、配達員の資格が剥奪されたと報じられた。反省を生かして10月末の量刑言い渡しまで余計な動きをしないようにしているのかもしれない。
取材・文/水谷竹秀(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号