全てのショットが強力
今回のパリ大会には、17歳で全仏オープンを制覇し、今年の全豪オープンでも優勝した小田凱人選手が出場します。18歳という年齢でありながら、技術的にはすでに穴を見つけるのが難しいほどの選手です。全てのショットが強力だし、「この勝負にかける」というメンタリティ、観る者を魅了するエンターテイナーとしての力が飛び抜けています。彼はきっと車いすテニスの魅力を、僕が発信できなかったレベルで伝えてくれるでしょう。今大会はぜひ彼の活躍に注目してほしいです。
健常者も障害者もスポーツは同じように楽しめる──それはパラスポーツの持つ大きなメッセージ性です。パラリンピックは東京での大会を経て、様々な競技の注目度が上がりました。僕も現地でナビゲートするので、新たな世代の活躍を一緒に応援しましょう!
●小田凱人(おだ・ときと) 車いすテニス
9歳の時に骨肉腫を発症し、昨年引退した国枝慎吾さんに憧れて車いすテニスを始める。2023年、17歳で全仏オープンに史上最年少優勝。ウィンブルドン選手権、全豪オープンとすでに四大大会で3勝をあげている。
【プロフィール】
国枝慎吾(くにえだ・しんご)/1984年、千葉県生まれ。車いすテニス界の数々の記録を樹立。2023年には国民栄誉賞を受賞。ユニクロ所属。
取材・文/稲泉連(いないずみ・れん)
1979年、東京都生まれ。2005年、『ぼくもいくさに征くのだけれど-竹内浩三の詩と死-』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『復興の書店』『豊田章男が愛したテストドライバー』『日本人宇宙飛行士』『サーカスの子』など。1964年の東京パラリンピックについて取材した『パラリンピックと日本人 アナザー1964』が好評発売中。
※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号