パワハラなどの疑惑を内部告発され、渦中にいる兵庫県・斎藤元彦知事。県職員を対象としたアンケートの「中間報告」も公開され、そこでは職員の約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたことがあると回答している。
斎藤氏は兵庫県神戸市須磨区で生まれ、地元では幼少期から「イケメンの秀才」として知られていた。東京大学に進学し順風満帆だった斎藤氏は、なぜ県政を揺るがすパワハラ騒動を引き起こすような知事になってしまったのか。【前後編の後編。前編から読む】
斎藤氏の祖父は、長田区と須磨区で事業を行なう製造会社の社長だった。地元の政治関係者の話。
「元彦くんのおじいさんは、ケミカルシューズの工業組合の理事長も務めていて、地域では相当の有名人でした。政党は自民党で、須磨区出身の石井一さん(享年87)の有力な支持者だったんです。おじいさんはゴルフ場も経営してて、それも大当たりした」
約120坪の“豪邸”を地元に構え一族の中心だった祖父は、多くの孫のうち斎藤氏に最も期待を寄せていたという。斎藤氏の幼少期を知る地元の知り合い・Aさんが語る。
「おじいさんは元彦くんをすごく可愛がってましたし、元彦くんはおじいさんが政治支援活動をするのも見ていたから、高校生の時にはもう『県知事になりたい』と言ってましたね。だからこそ、維新の後援を受けて出た時はびっくりした」
祖父の影響を多分に受けて、早くから政治家を志していたという斎藤氏。大学卒業後の2002年に地方自治を所管する総務省に入省すると、目標に向けて突き進んできた。キャリア官僚として日本各地の県や市町村に出向した末、2018年に大阪府に出向し、財政課長として維新府政を支えた。2021年、兵庫県知事選挙に立候補して総務省を退職。同年7月に複数の候補者を破り、念願の県知事就任となった。
Aさんは幼少期の斎藤氏の印象について、「真面目で優しい人のイメージ」だという。そんな彼になぜ、今回のようなパワハラ疑惑が浮上しているのか。Aさんは、「抑圧された何かが、知事をやってるあいだに爆発したんだと思います」という。