孤独や金銭的な苦境に耐えても役者をやりたい
──劇団の同期や役者仲間などで親しくしている方はいますか?
「劇団を辞めたのは43歳のときですが、役者仲間には、悩みを相談するような親しい友人はいません。親しく付き合っているのは、小中学校時代の同級生です。違う業界で生きている人のほうが、自分では考えもつかなかった発想をするので、助けになります。中学の同級会には必ず出席しますね」
──では、支え合う家族はいるのでしょうか?
「結婚は、劇団にいた30代の頃、同僚の女優としました。といっても、籍を入れない事実婚で、お互い演劇に生涯を捧げよう、と子どもは作りませんでした。僕が病気になって別れを選び、それからはずっと1人です」
──大病を1人で乗り越えるのは、本当に大変だったでしょうね……。
「実は、胃がんの後、下顎の骨が溶ける病気(顎骨骨髄炎)も患い、顔の左側に金属プレートを入れる手術もしています。ところが、その金属が折れて、また手術……ということを6回繰り返しました。患部が顔なので、役者としてはつらかったですよ」