ただ、この「20万円以下は公表義務なし」というルール自体が、政治資金の透明性を低め、ブラックボックス化する緩い基準として問題視されてきた。政治資金研究の第一人者である岩井奉信・日本大学名誉教授はこう指摘する。
「20万円以下は公表義務がないため、政治資金パーティーの収入が正確に報告されているかを外部の者がチェックできない。この緩い公表基準は、派閥がパーティー収入を少なく偽って裏金とすることを容易にするなど、政治資金規正法の“抜け道”に使われてきた。たとえば、40万円のパーティー券を購入してもらったとしても、20万円ずつ別名義の購入にすれば公表せずに済み、収支報告書に載らないから外部からはチェックできません」
パーティー券購入を公表されたくない企業や個人にとっても都合がよく、パーティー券を売りたい自民党議員の間ではこのルールを温存する動きもあったが、日本維新の会と公明党が公表基準を「1回5万円超」に引き下げるべきと主張。先の国会で政治資金規正法が改正された経緯がある。
政治とカネの改革は、政治家に自らの政治資金の透明度を高める姿勢や覚悟を問われる。その点、無派閥の進次郎氏は、派閥パーティー禁止を声高に訴える一方で、前述の党刷新本部の中間取りまとめでも、「政治資金パーティーの公表基準」に言及はなかった。
オンライン研修会で1500万円
「泉進会」がコロナ禍の2021年に開催したオンライン研修会の問題もある。
この年、政治資金を所管する総務省は「オンライン形式は政治資金パーティーではない」との見解を出した。そのため、オンライン研修会は政治資金規正法のパーティー規制対象外の「その他事業」とされ、1回20万円超の支払いを受けても公表義務がない。
進次郎氏も2021年にオンライン研修会を4回開催。計1528万円の収入を得ていたが、政治資金収支報告書の収入欄には各回の収入総額と開催月だけが記載され、会費も参加人数もわからなかった。