今年のクラシック戦線では、キズナ産駒が活躍しているように感じます。芝・ダートを問わず活躍馬が出ているので、評価が高いようです。
2戦目で勝ってくれたラパンチュールは、僕が厩舎を開業するにあたってお世話になった藤沢和雄厩舎でスプリンターズステークスなどを勝ったタワーオブロンドンの子。やはり今年の新種牡馬です。
僕自身はセリに出される馬をあまり先入観で見ないようにしています。新種牡馬だからとか、この産駒だからという目で見るのではなく、その馬を見て評価しています。人気種牡馬に限らず、いろいろな馬を手掛けてみたいなと思っています。
余談ですが、そんな中、ちょっと気にしているのはオーヴァルエースという新種牡馬。2018年に高木登厩舎からデビューしたヘニーヒューズ産駒で、僕が乗って3戦3勝。少し怖がりの馬だったけれど、故障しなければダートではこの世代トップクラスだったと思います。高松宮記念を勝ったナランフレグや、ケンタッキーダービーに出たマスターフェンサーにも勝っているんです。
地方競馬ではすでに勝った産駒が出ているようですが、この先も活躍馬が多く出てくれたら嬉しいなと思います。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。この連載をベースにした小学館新書『調教師になったトップ・ジョッキー~2500勝騎手がたどりついた「競馬の真実」』が発売中。
※週刊ポスト2024年9月13日号