しかし当該メールに担任からの返信はないまま、2022年11月、沖縄への修学旅行中に“事件”は起きた。修学旅行2日目の夜、複数の男子生徒がAくんの部屋にやってきた。自慰をするように言われて、Aくんも「さすがにそれは……」としぶったものの、結局押し切られてしまった。自慰をしている最中、撮影されていることに気づき、「さすがにヤバい。やめろ」と頼んだが、その言葉は聞き入れてもらえなかった。
「僕は小学校のときにもいじめられていたせいで、嫌な思いをしても無理やり笑ったり盛り上げようとしてしまうところがあります。みんなに拒否され、孤立することがすごく怖い。
だから自慰を撮られた翌朝も『後ろいじりたい』と自分のお尻を触る悪ふざけをしてしまいました。そのときも動画で撮影されました」
孤立することへの恐怖から、嫌なことがあっても断りきれず、その場を盛り上げようとしてしまう傾向のあるAくん。しかし、そんな彼も看過できない方向へと事態は進んでいった。自慰を撮影した動画が学校内で拡散されたのだ。Aくんが把握しているだけでも数十人の生徒が当該動画を視聴した状況になり、そのなかには女子生徒もいた。
動画については教師も把握するところとなり、修学旅行から数日後、Aくんは担任に事情を聞かれた。しかし、加害生徒に「本当のことを言ったら、どうなるかわかるだろうな」とプレッシャーをかけられていたせいで、思わず「ノリでやりました」と答えてしまった。そして翌週の月曜日、「Aくんのことで話があるので今日中に学校に来てほしい」と連絡が来て、Aくんの父親と担任教師、学年主任、教頭で話し合いの場を持つことになった。
どんな話し合いが行われたのか。Aくんの父が語る。