叶わなくても欲し続けていたい
一方で「欲望を満たされたくないという欲望」も描かれている。何度恋愛で失敗しても懲りずに恋に夢中になる『ハッピー・マニア』のカヨコがそうだ。
「欲望を叶えることよりも、追いかけ続けることが生きる活力になるのです。そうした女性は、満たされた途端に燃え尽き症候群になってしまいます」(三宅さん)
不幸になると知りながら突き進もうとしたり、反対に申し分のない相手のはずなのに「この人と結婚して本当に幸せになれるのかしら」と悩んだりする経験は、多くの女性は身に覚えがあるはずだ。
「人生のさまざまな局面での女としての不安や揺らぎ、そして欲望は、主人公たちと同世代が読めば共感し、年を重ねてから読めば“古傷”が痛気持ちよくうずく。その実感はリアルを超えてもはや生々しいほど。時代や地域、時には種族さえ違う登場人物たちと、感情が接続されるのです」(トミヤマさん)
女に生まれた以上、何才になっても強く、「欲深い女」でいよう。それこそが“居場所”をつくるはずだ。
※女性セブン2024年9月19日号