ドラマ『虎に翼』で星航一を演じる岡田将生(35才)の魅力について、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが綴る。
若きイケメンのひとりという認識が変わった作品
NHK連続テレビ小説『虎に翼』第22週のタイトルは「女房に惚れてお家繁盛?」でした。
(以下、ネタバレあり)
はて……この“女房”とは寅子(伊藤沙莉サン・30才)のこと? それとも航一さん(岡田将生サン)の亡き妻・照子さん(安田聖愛サン・28才)のことなのでしょうか。
航一さんの長男・朋一(井上祐貴サン・28才)や長女・のどか(尾碕真花サン・23才)、さらに継母の百合さん(余貴美子サン・68才)とのかな〜りギクシャクした“家族”の中に、寅子と娘の優未(毎田暖乃チャン・12才)が加わったことで、特に、のどかが荒れに荒れた1週間。
のどかがずっと作り笑いばかりしていた様子に、ナレーターの尾野真千子サン(42才)よりも先に「おやおや〜」と言ってしまっていた私は、ずっと気になっていました。寅子のあの明るさと前向きさと真っすぐさは、苦手な人は苦手だと思います。
でも、その寅子にハマったのが航一さん。結婚したくてしたくて、彼なりに懸命に立ち回った末、ひとつ屋根の下に暮らすことになるものの、第二次世界大戦中に携わった“仕事”により閉ざされた心……。でも照子さんの生前の思いを子供たちから聞かされて泣いてしまった航一さんに、もらい泣きしてしまいました。
モデルとなった三淵嘉子さんの夫・三淵乾太郎さんのお写真をネットで拝見したら、すごくシュッとしていらして、あぁ、だから岡田将生サンがキャスティングされたんだとものすごく納得しました。
伊藤サンとは約30cmの身長差が、『小さな恋のものがたり』のチッチとサリー(古くてゴメンナサイ)みたいだったキスシーンや、濡れた廊下をふたりで何度も滑って転んでしまうシーン。さらに、自由に演じきった伊藤サンがハケ、ひとり取り残された岡田サンが困りきった表情で、演技なのか素なのかわからない笑みを浮かべつつ、監督さんからの「OK」を待つ様子が本当にチャーミングでした。
今年8月で35才になった岡田サンは中学時代に東京・原宿でスカウトされるも一度は断って、高校進学後にテレビCMでデビュー。若きイケメン俳優の筆頭として、3年後の2009年には映画賞の新人賞を総なめにする活躍をされています。
それからずっと、いわゆる若きイケメンのおひとりとして第一線で活躍されてきたのですが、コチラから見て印象が変わったのは2016年4月期の主演ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)でした。
あの宮藤官九郎さん(54才)が「社会人経験ゼロの私が、45才にして初めて挑む社会派ドラマ」と称した作品。スペシャルドラマやスピンオフドラマ、そして2023年の映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』へと続きました。