一発狙いをやめた結果、大事な場面で一発が打てている格好だ。前述した8月14日の10代でのグランドスラムは、巨人では2008年の坂本勇人(35)以来で、東京ドームでの一発という点も坂本と共通する。高卒2年目でレギュラー定着した右打者など類似点が多く、坂本と比較されることが多いが、キャラクターは正反対だという。
「甘いマスクの坂本は、新人の頃からグラウンド外の夜遊びが盛んでしたが、浅野は高校時代の愛称が『おっさん』で本人も自覚しているおじさん顔の愛されキャラ。酒や女遊びにも興味がなく、巨人では岡本和真(28)や吉川尚輝(29)に似たインドアタイプとして地に足がついています」(前出・スポーツ紙デスク)
重心の残し方が同じ
そんな浅野には阿部監督も惚れ込んでいる。「勝負勘は一番買っている」「個人的には彼にスターになってほしい」とまで評し、ここにきて優勝争いを左右する最大のキーマンとも位置づけられる。浅野の打撃について、巨人を含むセ3球団で4番を打った経験を持つ広澤克実氏はこう評価した。
「天才型の坂本と違って、浅野は理に適った体重のかけ方をします。たとえば、インパクトではキャッチャー側の右足にしっかりと重心が残り、打った後は左足が先に動いている。左右の違いはありますが、ドジャースの大谷翔平(30)の重心の移動と同じでしっかりと球を叩ける打ち方です」
大谷もNPBでのプロ入り当初から逆方向を意識し、今ではメジャーで逆方向弾を量産している。広澤氏はこう続ける。
「フィジカルを鍛えればさらにパワーがついてボールを遠くに飛ばせるようになり、浅野の成績はもっと上がるはず。大谷ほど体は大きくないが、“小さな大砲”を目指せる器です。走攻守そろった好選手。坂本の輝きが薄れるなか、次代の巨人を担える可能性がある。シーズン終盤の緊迫感が増すなか、どんなプレーを見せるか楽しみです」
4年振りのV奪還へ、欠かせないピースだ。
※週刊ポスト2024年9月20・27日号