ライフ

驚愕の粘り腰を発揮する斎藤知事を見ていて得られた4つの気づき

8月30日、パワハラ疑惑などの事実関係の調査を進める百条委員会による初の証人尋問に出席した斎藤元彦兵庫県知事(46)。疑惑については認めない姿勢を固めている(時事通信フォト)

8月30日、パワハラ疑惑などの事実関係の調査を進める百条委員会による初の証人尋問に出席した斎藤元彦兵庫県知事(46)。疑惑については認めない姿勢を固めている(時事通信フォト)

 他人の失敗を、単に野次馬として眺めるか他山の石とするかは後に大きな違いを生むだろう。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 世の中の多くが「これは、さすがに辞職かな」と思い始めてから、もう2カ月ぐらいになるでしょうか。パワハラやおねだりなどの疑惑が次々に飛び出し、激しい批判を受け続けている斎藤元彦・兵庫県知事は、驚愕の粘り腰を見せ続けて今も知事のままです。

 パワハラやおねだりも十分に問題ですが、それ以上に重大なのが、知事の問題点を告発した「公益通報者」に対する対応や、阪神・オリックスの優勝パレードの際の補助金キックバックに関する疑惑。もし報じられている通りなら、警察や司法の出番です。一連の疑惑と深く関係していると思われる悲しい事態も、複数起きてしまいました。

 しかし、どれだけ批判が高まっても、百条委員会で厳しく詰められても、もはや知事の役割が果たせる状態ではなくなっても、斎藤知事は「県政を担わせていただきたい」と言い続けています。最近では、そのメンタルのあまりの強さに感心する声も出てきました。

 いろいろ理解が追い付きませんが、前代未聞の事態が起きているのは確か。報道の内容や顔写真を見てムカムカしているだけではなく、せっかくなので何か学んでしまいたいところ。というわけで、個人的に「斎藤知事を見ていて得られた4つの気づき」をご紹介します。あくまで勝手に気づきを得ただけなので、ご本人の実際の心情はわかりません。

●気づきその1〈人はどんなに四面楚歌の状況でも自分を正当化できる〉

 ここまで来て、斎藤知事が辞めないのはなぜでしょうか。続けることが責任を果たす道だと本気で思って、責任感の強い自分に誇りを覚えているのかもしれません。もしかしたら「この絶体絶命の状況で耐えしのげるなんて、さすが俺」と、戦う自分の姿がカッコよく見えているのかもしれません。「悪いのは側近たちや一方的な報道に精を出すマスコミだ。ここで辞めたら自分が悪かったことになる」と考えている可能性もあります。

 いずれにせよ、ご本人の中で自分を守ったり正当化したり美化したりする何らかの理屈を構築していないと、今の状況には耐えられないでしょう。斎藤知事のおかげで、あらためて「人間とはなんと強くてしなやかな生き物だろうか」という気づきを得ました。

●気づきその2〈世の中には「責任を認めたら負け」と思っている人がいる〉

 さんざん報じられている「疑惑」が真実かどうかは、たしかにまだわかりません。それはさておいても、9月6日に行なわれた百条委員会の2回目の証人尋問の場で、委員から一連の問題の道義的責任をどう考えているかという質問に対して、「道義的責任というのが何かというのがわからない」と答えたことには多くの人が呆れました。

 ご本人としては、きっと深い意味を込めて言ったのでしょう。ただ、聞いている側としては、あらためて「なるほど。『責任を認めたら負け』と思う人って、実際にいるんだな」という気づきを得ました。この一言は大きな反発を招いて、斎藤知事をますます追い詰めることになります。「責任」をめぐるこの流れは、以て他山の石としましょう。

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン