「閣僚への“シンデレラ登用”と、副大臣や政務官の“女性ゼロ”は、日本政治の深刻な闇だと言えます。いきなりの大臣抜擢が、どういう実績や経験によるものなのか、リーダーが説明できなかったことで、やっぱりパフォーマンスなのか、結局は派閥の論理なのかと落胆しました。また副大臣や政務官ポストはいわば“人材のプール”。本来はここにこそ、多様性を備えなければいけません」
経験値が低いままリーダーになることで、さらなる不幸が生まれると長野さんは続ける。
「経験が少ないまま大臣に抜擢されても、うまくいかず成果をあげられないこともあるかもしれない。これは政界だけでなく、経済界でも同じことがいえる。そうすると、社会は女性をバッシングします。本人にとっても、組織にとっても不幸なばかりか、非生産的でますます事態が悪化することすら考えられます」
期待と不安の両方をはらみながらも、女性総理誕生に込める希望は大きい。
「世界を見渡しても、女性の総理や大統領が生まれるのは、その国になにかしら非常事態があった場合が多いんです。いまの日本の政治状況を見ると、自民党が、裏金問題で信頼を徹底的に失ってしまい、日本政治を回してきた派閥が解体したというまさに非常事態です。
だからこそ、経験のある女性が総理になるチャンスでもある。同様に、私たちも政治任せにするのではなく、投票に行くなど政治参加への意識を高めることが大切です」(長野さん)
伊藤議員は、ニュージーランドの首相を5年にわたって務めたアーダーン氏の例を挙げ、こう話す。
「2018年、ニューヨークで開かれた国連総会に事実婚の夫と生後3か月の子供とともに出席した女性首相の姿に私は衝撃を受けました。ニュージーランドの子供たちは、自国の無数の可能性を、このたった一枚の写真から感じ取ったはずです。
一方、日本の政治家は、盛んに男女共同参画が必要だ、多様性の時代だと言いますが現実はそうではない。女性総理は期待されるだけでなく、実際に生まれることが次世代への大きなメッセージになるのです」
決戦は9月27日。日本はどう変わるのか。
※女性セブン2024年9月26日・10月3日号