貢献度の高さと出演俳優への影響力
三谷さんが監督・脚本を務める映画が公開されるたびに、「こんなに番宣出演する監督や脚本家はいない」「主演の何倍も出て目立っている」などの声があがります。ちなみに前作『記憶にございません!』のときは公開当日に「フジテレビ系の全17番組連続出演」という前代未聞の番宣に挑んでいました。そのバイタリティーと現場対応力はクリエイターとしては異例のスキルであり、番宣慣れした俳優や芸人と同等以上のレベルにあります。
さらに特筆すべきは業界内で「三谷さんだから許される」という共通認識のような感覚があること。たとえば大河ドラマ『鎌倉殿の十三人』(NHK総合)の脚本を手がけていたとき、他局であるにもかかわらず『情報7daysニュースキャスター』で番宣し、TBSの社長からもお墨付きをもらっていました。映画製作にかかわっていない他局でも番宣が許されるのは、それだけ番宣出演する番組の視聴率や話題性アップに貢献できるからでしょう。
もう1つ「三谷さんだから許される」と言われる理由は、番宣における出演俳優たちへの影響力。俳優たちが三谷さんの演出・脚本をリスペクトしているのは間違いありませんが、番宣出演におけるスキルにも一目置かれています。ただ、「番宣は三谷さんにまかせておくのが一番いい」とは思っていても、監督・脚本家が自らこれだけ番宣するのですから出演俳優としては「出ない」というわけにはいきません。
また、三谷作品の出演俳優にはコメディ巧者が多く、情報番組やバラエティに出た際に笑いにつなげられるなど、計算が立ちやすいこともポイントの1つ。人気だけでなくトーク力やサービス精神があるため、各番組の制作サイドを喜ばせるというケースが目立ちます。このような出演俳優への影響力も、番宣における三谷さんの実力としてみなされているのでしょう。