『紀州のドン・ファン』と呼ばれていた資産家男性が2018年に自宅で死亡していた事件で、殺人罪に問われている元妻の裁判員裁判が9月12日から和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれている。元妻は初公判罪状認否で「私は社長を殺してません。覚醒剤を飲ませたこともないです」と否認。無罪を主張している。【前後編の前編】
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和歌山県田辺市に住む資産家、野崎幸助さん(当時77)が亡くなったのは2018年5月24日の夜。自宅2階の寝室で意識を失っているのを元妻が発見し119番通報した。野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒。解剖の結果、致死濃度を超える覚醒剤成分が血中から検出され、特に胃からの覚醒剤濃度が高いことが認められた。つまり野崎さんは覚醒剤を経口摂取した可能性が高い。だが野崎さんにはそれまで覚醒剤の使用歴がなく、入手した形跡も確認できなかった。
この日、在宅していたのは野崎さんと家政婦、そして今回殺人罪に問われている元妻の須藤早貴被告(28)。家政婦は日中から20時過ぎまで外出しており、帰宅後は野崎さんのいる寝室に行っていない。野崎さんと須藤被告が自宅で2人だけの時間帯に、一体何があったのか。