派閥解消を利用して省益拡大
財務官僚たちが“自分たちの意に染まる総裁候補”を作り上げるさまを見て、建設官僚でもあった脇雅史・元自民党参院幹事長はこう嘆く。
「財務省は、財政規律さえよくなればいいと信じている。それで日本経済が低迷しても知ったこっちゃないんでしょう。高度成長期はそれで役割を果たせたかもしれないが、デフレ下で予算を削れば経済はジリ貧。わかり切った話なのに、旧大蔵省は公共事業を悪者にして国力を落とした」
そんな財務省と歩調を合わせた候補が首相になれば何が起きるか。高橋氏は「緊縮路線は成長を阻害するだけ。株価は下がる」と警鐘を鳴らす。
にもかかわらず、舞台裏で財務省の存在感が強まる総裁選について脇氏はこう読み解いた。
「派閥の弱体化が一因ではないか。派閥解消は望ましいことだが、政策論のまとめ役は必要。平時から、本来の『政策集団』を作って役所やブレーンの知恵も利用しながら議論を重ね、骨太の策をじっくり練らないとならないが、それができていない。だから財務省という大きな船の政策に乗っかる人が出てくる」
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年10月4日号