組幹部はドアを開けた直後…
犯人の男は身体の前に抱えていた段ボール箱を組幹部の方へと差し出した。組幹部がそれを受け取ろうと手を伸ばした瞬間、パチパチとはじけるような乾いた音が響き、男の手元から白煙が上がった。
段ボール箱を落とした組幹部が体を捩るように倒れこむ。銃撃の反動で犯人も後ろへ跳ね飛ばされ、車の向こうへと姿を消した。開かれていたドアがゆっくりと閉まっていった。
組幹部はドアを開けた直後、わずか段ボール箱1個分の距離から拳銃で撃たれた。関東を拠点に活動する暴力団の幹部は、拳銃による襲撃について「”あの組長のタマを取った”と豪語する組長もいるが、成功したのは至近距離で撃ったからだ。今のヤクザは拳銃の練習ができないので撃つのが下手だ。少し離れただけで的に当てられない。発射時の反動も大きいから、2メートルも離れてしまえば当たらない。事務所へのカチコミならどこかに撃ち込めばいいが、相手が人間なら近ければ近いほど精度が上がる」。周辺の住民などから、パーンという音が数回したという証言もあり。事務所内の玄関付近に倒れていた幹部は、胸付近を撃たれ、病院に搬送されたが死亡した。
容疑者の男は弘道会系稲葉一家の組員で、付近を歩いているところを警察に逮捕された。「実行犯が逃走せずに警察に捕まるのは、その襲撃が実行犯であるヒットマンにとって勲章になるからだ」と暴力団幹部はいう。襲撃したのが自分であり、ヒットマンを出したのが弘道会傘下の組だと暴力団業界に知らしめるためだ。
今回、内部からの流出としか考えられない映像がすぐに流出した。六代目山口組が分裂してから10年、やられたらやり返す”返し”の連鎖はまだ続きそうだ。