2018年5月、和歌山県田辺市に住む資産家で、『紀州のドン・ファン』と呼ばれていた野崎幸助さん(当時77)が自宅で亡くなった事件。殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が、9月12日から和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれた。
野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒。覚醒剤を経口摂取した可能性が高いとみられているが、本人の使用歴や入手した形跡は確認されていない。須藤被告は「私は社長を殺してません。覚醒剤を飲ませたこともないです」と否認し、無罪を主張した。司法担当記者が解説する。
「公判では、野崎さんと須藤被告が知り合った過程や、被告が『老人 完全犯罪』『覚醒剤 死亡』といったワードでネット検索していたことなども明らかにされました。また、須藤被告と野崎さんは2018年2月8日に結婚したものの、翌月には野崎さんが離婚届を作成し、須藤被告に送付していたこともわかっています」
公判では2014年に札幌市内の高校を卒業した須藤被告が、2016年に同市内の美容専門学校を卒業後、上京し、風俗店勤務やセクシー動画出演などで生計を立てていたことも紹介された。さらに、須藤被告は野崎さんが亡くなる直前──2018年5月初め頃に自身の出演歴をアプリコ従業員に知られ、その後、家政婦にも知られていたという。
そもそも、須藤被告はどういった経緯でAVに出演したのか。
須藤被告は2016年11月から複数のいわゆる高級デートクラブに所属し、また遅くとも同年12月からは無店舗型性風俗──いわゆるデリヘルで接客をするようになっていた。その後デリヘルでの接客中、セクシー動画業界関係者の利用客に「(AVに)出ればまとまった収入が受け取れる」などと説明を受けたという。
2017年4月、須藤被告はセクシー女優としてプロダクションに登録するための面接を受け、その2日後にはプロダクションとマネジメント契約を締結。合計4本の動画に出演し、出演料は同年9月15日に20万6517円、10月13日に17万9580円が被告の口座に振り込まれた。