インタビュー中、悔しそうに歯を食いしばる木下

インタビュー中、悔しそうに歯を食いしばる木下(撮影/木村圭司)

「あぐらをかいてきた」振り返る木下

 不祥事を起こすまでの木下は「あぐらをかいていた」ときっぱり口にする。

「自分たちの立ち位置に満足していたんです。芸人なのに攻めてなかった。来る仕事を受けているだけで、芸人をやっていなかった。『今のイメージ大事にしたほうがええわ』とか言い訳つけて。でも、芸人もどんどん新しい人が入ってきている。

 少しずつ自分たちが落ちていっていたことに気づいてなかったんですよ。だから(不祥事は)起こるべくして起きたと思っています。木本もそういう気持ちがあったと思います。

 何者でもなくなった2人で話しあって、僕たちにはコントしかない。コントをもう一度、一からやり直そう、向き合おう。でも、いきなりコントやりますじゃ、僕らも歳とってるし、鮮度もない。お客さんに来てもらうんじゃなくて、こっちから会いに行こうってなって47都道府県を周ることにしました」

 チケットの売れ行きが芳しくない公演は、現地で手売りをした。芸歴30年で初めての経験だったという。これが木下の気持ちに大きな変化をもたらした。

「地元の人と出会って、『頑張ってください』『応援してるで』と直接言葉もらったり、握手したり、写真撮ったりしているうちに、“彼らにいいところ見せたい”って気持ちに変わっていったんですよ。これまで人と触れ合うことを忘れていたTKOが、手売りでチケットを買ってくれた人が客席にいるのを見つけるだけで涙が出るんですよ」

 コントツアーのエンドロールでは、公演各地の地元企業の協賛がずらりと並んでいた。

立ち上げたファンクラブでもファンとの触れ合いを続けた。キングオブコントの直前も「さあ行くで」「明日や、頑張れ」というファンからのコメントに「うわ、緊張するわ」などと返していたという。こうしたSNS経由での繋がりが、いつしか木下のなかで非常に大きな存在になっていた。

「だから敗退って聞いた瞬間、やりとりしていたファンの顔が浮かぶわけですね。52歳になって、芸歴30年超えて。これまで自分のためにこの仕事やってきたのに、敗退って聞いた瞬間、みんなの顔が浮かんで。『ごめん、みんなにこの景色(優勝)見せられんかった。申し訳ない』って思いしかでえへんかった。情けなかった」

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