1989年、盗んだ公衆電話機のカード読み取り・書き込み装置とこれを使って作成された変造テレホンカード(時事通信フォト)

1989年、盗んだ公衆電話機のカード読み取り・書き込み装置とこれを使って作成された変造テレホンカード(時事通信フォト)

 偽造カードの客は、こういった日本に出稼ぎにきた外国人がほとんどだったようだ。「国にいる家族に電話するのに、偽造カードを買って、公衆電話から電話する。1枚5000円で買っても、その倍の料金分電話できたら、外国人ホステスとかはこぞって買いにくる」(S氏)。使い終わって廃棄されたカードさえあれば、偽造は簡単だったという。今ならコンビニで使えるクオカードは偽造しないのか?と聞くと、「大量にさばけないから、わざわざやるヤツはいない」とS氏の子分は肩をすくめた。

「クレジットカードや銀行カードの偽造はそれほど難しくない。人目があるから見た目が同じカードを作るが、そこまでやらなくても、ATMが自社カードと認識してお金を払い出してくれる場合もある。数年前だが、飲食店の会員カードに細工したカードを渡されて、ATMで金を引き出してくれと言われてやってみた。まさかこれで?と思ったが、本当に出てきたのでこっちが驚いた」(S氏の子分)

 一般人からするとなんとも恐ろしい話だ。さてひと昔前の動画配信サービスの視聴用偽造カードには有効期限があり、その時期がきたら「次はいついつ切り替えですから、新しいカードを持って行きますんで、よろしく」と子分から連絡がきたという。今なら偽造プリペイドカードが出回りそうだが、それについてS氏はに口を閉ざしてしまった。

本当のヤクザは大人しい?

 ヤクザはどんな映画やドラマを観るのか、ヤクザ映画や人情物が好きなのかと聞くと、「それは人それぞれですよ」と笑い飛ばされた。だが総じて「ヤクザに関する映画やドラマは見ている者が多い」という。この夏話題になったNetflixで配信中の『地面師たち』については、「ストーリーに物珍しさはないが、1人1人の役をじっくり見ていると面白いよね。だけど”あれ”はないよな」という声が多いらしい。”あれ”とは人殺しだ。ヤクザといえば、すぐに人を恫喝し簡単に暴力をふるうと思われがちだが、「一般人に手を上げるのはチンピラや半グレ、ヤクザ崩れ。裏切った仲間をリンチするというのはあったが、そうでない仲間を殺すことはない。本当のヤクザは大人しいもんです」とS氏はいう。

 Vシネの極道シリーズの映画で話が盛り上がる時もあるそうだが、「あんなにバンバン撃たないよな」という意見が多いらしい。S氏が例に上げたのは『日本統一』シリーズだ。すでに64話まである人気シリーズで、スピンオフ映像『日本統一外伝』も作られている。「ヤクザらしさを強調したいんだろうが、オレたちはあんなに拳銃を撃たない。だってさ、拳銃を使うと刑が重いんだ。持っているだけで銃刀法違反で罪になる。発砲すれば火薬類取締法違反に発射罪とどんどん罪が重くなる。これで誰かを傷つけると、殺人未遂がつく。ナイフや包丁とは違う。だから今は誰も普段から拳銃なんて持ってない。それにあれだけ撃ちあっているのにパトカーがこないなんて、今の日本ではあり得ない」(S氏)

 彼らが思うリアルなヤクザ映画やドラマはどれか。「昭和の時代のヤクザ映画はリアルだよ。今なら日本の映画より、韓国のヤクザ映画やドラマの方がリアルだな。韓国もバンバン撃ちあうシーンが多いが、それより素手やナイフで争うアクションシーンの方が多いからな」という。映画やドラマの世界でヤクザは人気のコンテンツだが、S氏は「映像だと今のヤクザはどんどん過激になっているが、実際は正反対」。どんどん静かになっているのが今のヤクザの現実らしい。

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