警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ヤクザから見てリアルなヤクザを描いた映画やドラマについて。
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ヤクザには映画やドラマを観るのが好きな者が多いと聞く。特に実際に起きた事件に絡んで作られたような映画は現実と比較しながら観るらしい。9月2日、1985年に指定暴力団山口組四代目組長だった竹中正久ら3人を射殺した疑いで指名手配されていた男(75才)が、長崎県松浦市の市議に対する名誉棄損容疑で逮捕されるという事件があった。ヤクザ業界では死んでいたと思っていたヤツが、生きていたとは!と驚く声が上がったという。
話題の映画やドラマは必ず観るという暴力団幹部S氏にこの話を聞くと、「山一抗争の時の話だよな。一和会のヒットマンの話なら三浦友和が主演だった『悲しきヒットマン』(1989年、東映)。山口組四代目組長が殺されて五代目になるまでの話なら『激動の1750日』(1990年、東映)で、確かヒットマンは陣内孝則があてはまるんじゃないか」と、映画の話で盛り上がった。
今は自宅のテレビで昔のヤクザ映画を観ることもあるといい、「いろんな動画配信サービスがあるが、何でも見られる。」と笑う。以前は偽造カードがあったというが、セキュリティが厳しくなってきたので今はプリペイドカードを購入するようだ。考えてみれば、ヤクザは銀行口座が持てないから、引き落としができなければクレジットカードも作れない。家族や彼女と住んでいれば別だが、一人暮らしのヤクザは現金で買えるプリペイドカードしかない。また、友人知人のIDを借りて利用するという方法もあると彼らは言う。1つの契約につき複数のデバイスで再生できるサービスが多いので、その1つを借りるということらしい。もっとも、多くの配信サービスは家族以外とのID共有を規約で禁じているので、露見すると契約者のIDが失われるだけでなく賠償責任が問われる可能性もある。
かつてはシノギだったテレカの偽造
プリペイドカードといえば、その走りはテレホンカードだろうか。今は探そうにもなかなか見つけることができない公衆電話だが、昭和から平成にかけての頃は、誰もが1枚は財布や定期入れの中にテレホンカードを入れていた時代だ。いかにも偽造できそうなカードにヤクザが目をつけないわけがなく、テレホンカードの偽造をシノギとしてやっていた者もいるという。その頃、テレホンカードの売買は盛んに行われており、「日本に来た中国人やバングラデシュ人らは正規のテレホンカードを大手通信会社などから定価の10分の1程度で買い、それを出稼ぎに来ていたフィリピン人らに安く販売、大儲けした者もいる。だが中には偽造カードを安く仕入れて、販売していたヤツらもいた」とS氏は語る。