国際情報

「中国で反日感情が高まる日」を日本大使館がホームページで注意喚起 “12月13日の南京事件追悼記念日”までに駐在員家族を帰国させようとする動きも

毎年中国で行なわれる南京事件の追悼式典(写真/共同通信社)

毎年中国で行なわれる南京事件の追悼式典(写真/共同通信社)

 中国・深セン市の日本人学校に通う男児が殺害された事件を受け、中国政府は「偶発的な事件」「類似の事件はどの国でも起こり得る」と主張して幕引きを図っている。だが、事件の背景には反日感情の暴走を野放しにする習近平政権の存在があるとの指摘も多い。

 深センでの事件が起きた9月18日は、柳条湖事件(1931年に柳条湖で日本の関東軍が南満州鉄道を爆破した事件。関東軍はこれを中国軍の仕業として出兵し、満州事変が始まるきっかけとなった)が起きた日で、中国では「国恥日」のうちの一つとされている。その日に合わせて日本人学校を狙ったのだとすれば、次に危ない“Xデー”はいつなのか。

 中国情勢に詳しいジャーナリストで千葉大学客員教授を務める高口康太氏が言う。

「国家主席だった江沢民が1990年代に始めた愛国教育はその後どんどん強化され、9.18の柳条湖事件の日には空襲警報のサイレンを鳴らして知らしめる都市もあります」

 反日感情が特に高まる日には、現地の領事館や日系企業から在住日本人や社員に向けて注意喚起のメールが送られてくることもあるという。事件当日の9月18日にもそれは送られていた。

 在中国日本大使館のホームページにも「安全の手引き」として〈日本人が関与した歴史的事件が発生した日には反日感情が表面化する傾向が強い〉と、具体的な日付が明記されている。

「次に危ないと見られているのが、12月13日の南京事件追悼記念日です。1937年に日本軍が南京に入城した日ですが、2014年に『国家追悼日』の祭日に制定されました。

 現在、在中国日本人の間では、日本人と見分けられないよう子供のランドセルをやめさせ、街中で日本語を話さないようにする自衛策が取られている。

 さらに12月13日までに現地駐在社員に帯同する家族を帰国させようとする動きも活発化しています」(同前)

※週刊ポスト2024年10月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
歌手・浜崎あゆみ(47)の上海公演が開催直前で突如中止に
《緊迫する日中関係》上海の“浜崎あゆみカフェ”からポスターが撤去されていた…専門家は背景に「習近平への過剰な忖度」の可能性を指摘
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン