NHKのラジオ国際放送で中国人外部スタッフの男性が「尖閣は中国の領土だ」「南京大虐殺を忘れるな」などと不適切な発言をした“バイトテロ”事件や、靖国神社への落書き・放尿事件など、日本国内で中国人による「反日事件」が相次いでいる。
そうして日本で事件を起こした中国人たちは、祖国で“英雄”となった。
靖国神社の入り口にある石柱に「トイレ」を意味する漢字などが落書きされた事件は6月と8月の2回起きている。そのうち、6月の事件で器物損壊の疑いにより警視庁の指名手配を受けた中国籍の男性は、その後帰国し、8月に中国当局に別件の脅迫罪で逮捕されている。
「日本での落書き事件については中国当局の発表では触れられず、同容疑で取り調べを受けているかは不明です」(中国に詳しいジャーナリスト)
同容疑者は中国国内で迷惑系インフルエンサーとして知られ、6月17日に帰国した容疑者を“英雄”として迎えて花束を渡す動画の投稿もある。
NHK“バイトテロ犯”の男性も、帰国していたようだ。8月26日、自身のSNSアカウントで「私は(中国に)帰ってきた」と音声入りのコメントを載せている。
この男性は深センの日本人学校に通う児童が殺害された事件について〈中国人ヘイトが広まることを危惧するが、第二次安倍政権で歴史修正主義が強まったのが原因。日本政府がそれを無視し続ければ、もっとひどくなる。日本における中国人、中国における日本人が危険にさらされるだろう〉などとも書き込んでいる。元朝日新聞中国特派員でジャーナリストの峯村健司氏が言う。
「中国には愛国無罪という言葉があります。戦中などは中国の日本人コミュニティーで中国人が日本人を迫害したり殺害したりしても、『侵略した日本人を追い出した。殺人は罪だが愛国行為だ』として無罪になっていた。これが『反日無罪』として受け止められるようになりました。今回の深センの事件は過去に例がないため、わからないが、犯人がどのような処罰を受けるのかきちんと注視していくべき」
日本や日本人に対する犯罪を、これ以上正当化させるわけにはいかない。
※週刊ポスト2024年10月11日号