現役時代の貴乃花(時事通信フォト)

現役時代の貴乃花(時事通信フォト)

 貴乃花氏は次々と台頭する若手を温かい目で見守っている。今場所は8勝7敗で辛うじて勝ち越す結果に終わった大関・琴櫻(26)も、「日本人のなかでは身長も体重も大きいですよね。大きい体で取れる相撲を取っています」と評した。ただ、横綱の器かと尋ねると「どうだろうな。そればかりは……」と続けた。

「逆にあの体格で頭からいって突き押しで勝負が決められるような強さが出れば、自動的に(横綱に)なるんじゃないですか。もともと四つ相撲(右四つ)ですからね。十分に候補になると思いますね。相撲部屋の3代目で、おじいさんが横綱ですから。環境は整っています」

 祖父は元横綱・琴櫻、父は元関脇・琴ノ若(現・佐渡ヶ嶽親方)という相撲一家に生まれた環境は、貴乃花氏自身とも重なる。

「遺伝がどうというより、大切なのは教育環境だと思いますね。私も、力士の生活を子供ながらに垣間見て大変なんだなと思っていましたが、入門しちゃいましたね(苦笑)」

第3回につづく

聞き手:鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。ジャーナリスト。スポーツ、社会問題を中心に取材活動を重ね、野球界、角界の深奥に斬り込んだスクープで話題を集めた。近著に『審判はつらいよ』(小学館新書)。

※週刊ポスト2024年10月11日号

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