菅氏は国会閉会後、裏金問題で支持率が下がり続けた岸田前首相を「このままでは(自民党が総選挙に負けて)政権交代してしまうとの危機感を持つ人は増えている」と厳しく批判。有力議員との会合に小泉氏を招くなどして総裁選出馬を促した。政治ジャーナリストの宮崎信行さんはこんな見方をする。
「菅氏は首相だった3年前の総裁選で岸田氏に“菅降ろし”を仕掛けられて退陣に追い込まれた経緯があります。それだけに岸田氏への恨みが強い。だから今回はかわいがっている進次郎氏を総裁選に立てて岸田氏を総理から引きずりおろそうというスタンスでした。進次郎氏も岸田政権では閑職に追いやられてましたから、気持ちが傾いたのでしょう」
それを後押ししたのが裏金問題で揺れる旧安倍派・元会長である森喜朗元首相(87才)だった。
「進次郎氏は父の小泉純一郎元首相から『50才までは総裁選に出さない』と言われていました。純一郎氏は息子の経験不足を心配していたわけです。しかし、なんとしても人気のある総理を誕生させて裏金問題を吹き飛ばしたかった森氏は純一郎氏と会合を開いて『絶対に進次郎氏がいい』と説得し、総裁選出馬を認めさせた」(前出・全国紙政治部記者)
実際、純一郎氏は小泉氏の出馬宣言を受け、「いま、総理にならない方がいいのにね」と鮮烈なコメントを出した。自民党の重鎮たちは自分たちの思惑だけで若い小泉氏を強引に引っ張り出したのだ。