一方、下村氏と同様に「1年間の党員資格停止」となって無所属で出馬する西村康稔・元経産相(兵庫9区)は、地元に張り付いて“お詫び行脚”を続け、やや有利な情勢に持ち直している。
旧安倍派5人衆のなかで公認が微妙なのが裏金問題で「党員資格停止6か月」の処分を受けた高木毅・元国対委員長(福井2区)だ。
解散日の10月9日には4月4日の処分から6か月が過ぎている。順当なら党員資格が回復されて自民党公認で出馬できるはずだが、石破首相は裏金議員の公認見直しを行なっている。高木氏が公認されずに無所属出馬になれば一層厳しい状況に追い込まれる。
参院から衆院東京7区に鞍替え出馬する丸川珠代・元五輪相は立憲の前職・松尾明弘氏と横一線で並んでいる。同選挙区には維新の現職・小野泰輔氏も出馬して三つ巴の戦いだが、丸川氏は裏金問題で「戒告」処分を受けており、立憲と維新が候補を一本化すれば丸川氏は一気に劣勢に立たされそうだ。
【プロフィール】
野上忠興(のがみ・ただおき)/1940年、東京生まれ。政治ジャーナリスト。1964年に早稲田大学を卒業後、共同通信社に入社。1972年より政治部、自民党福田派・安倍派(清和政策研究会)の番記者を長く務めた。自民党キャップ、政治部次長などを歴任後、2000年に退職し、フリーに。『安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密』(小社刊)など著書多数。
(第3回に続く。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年10月18・25日号