俳優の織田裕二が、2025年9月に開催される『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーに就任することが発表された。織田は、1997年のアテネ大会から13大会連続で、中井美穂とともにTBS系での世界陸上の中継番組でメインキャスターを務めてきたが、2022年のオレゴン大会をもって卒業。2023年のブダペスト大会ではTBSの江藤愛アナと石井大裕アナがメインキャスターを担当していた。そんななかで、織田が今回スペシャルアンバサダーとして世界陸上にカムバックしたということで、大きな盛り上がりが期待されている。
世界陸上が東京で開催されるのは、1991年以来34年ぶり。その記念すべき大会をPRするべく、織田の活動はすでに始まっている。10月5日に国立競技場で開催された『東京2025世界陸上ドリームリレー』には織田が登場し、アンバサダー就任を発表。翌6日にTBS系で放送された『オールスター感謝祭2024秋』にも、陸上短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム選手とともにサプライズで登場し、番組恒例の「重圧アーチェリー」に挑戦。すると見事、的の中央である「1000点」の部分を射抜いてみせたのだ。
本番にめっぽう強い“大スター”といった活躍を見せた織田。そもそもどうして2022年大会もってメインキャスターを卒業したのだろうか。
「さまざまな理由が考えられますが、昨今の地上波テレビは経費がどんどん削減されていて、出演者のギャラも削減の対象になりつつあります。だからこそ、世界陸上だけでなく、スポーツの中継では、タレントが起用される機会が減る傾向にあるんですよ。
しかも、世界陸上の場合、時差のある海外での大会はほとんどで、生放送の時間帯が深夜になることも多く、高い視聴率が見込めない。そういったなかで、大スターである織田裕二さんを起用し続けるのが簡単ではなかったことは、容易に想像できます」(テレビ誌ライター)
織田裕二が支持される理由
かつて織田は、世界陸上の中継において「騒ぎすぎだ」などと叩かれたこともあったが、一方で「地球に生まれてよかったー!」「なにやってんだよ、タメ!」といった数々の名言を残すなど、同中継における重要な“見どころ”になっていたのも事実だ。実際ネット上では、今回のアンバサダー就任のニュースに対し、
〈あの熱さで今大会を盛り上げて欲しい!〉
〈やっぱり世界陸上といったら織田裕二がいないとダメなのよ〉
〈織田さんが熱く語るのを聞いていると、世界陸上も10倍楽しい〉
など、大歓迎だという声が湧き上がっている。織田が支持される理由について、エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう分析する。
「タレントさんがスポーツ中継のキャスターを務めると、“過剰な演出”として見られてしまい、競技そのものを軽視しているのではないかと叩かれてしまうことがあります。スポーツファンにしてみれば、“あくまで主役は選手”というのが大前提ですからね。
そういったなかでも織田さんが、世界陸上のキャスターとして支持されるのは、まず陸上競技について深くリサーチしていることがあるでしょう。選手に関する細かい情報を下調べするのはもちろんのこと、専門家のような視点で語ることもできる。それだけ本気で陸上の魅力を伝えようとしているのが織田さんであり、だからこそ陸上初心者からも上級者からも支持されるのだと思います。また、だからといってマニアックになりすぎることもなく、競技の結果に一喜一憂したり、興奮して大声を出したり、時には文句を言ったりなど、視聴者と同じ目線で陸上を楽しんでいるというのも織田さんが支持される理由でしょうね」
そんな織田が世界陸上にアンバサダーとしてカムバックことのメリットは計り知れないという。
「2025年は東京大会なので、これまで以上盛り上がる可能性も高いですし、テレビ中継を見る人も増えるでしょう。そういったなかで、これまでの“織田裕二支持者”たちを上手く取り込んでいけば、盛り上がりが増幅するのは間違いない。逆に織田さんが関わらなかったら、SNSで『織田裕二が必要』といったネガティブな反応があふれる可能性もあります。
また、今回はアンバサダーということで、これまでのメインキャスターとは異なる立場ではありますが、テレビ中継に何らかの形で登場するのは間違いないと思います。そうなったら、当然ながらSNSでは織田さんの一言一句に注目し、名言が出てくればすぐにバズることになるでしょう。番組を盛り上げるためにSNSは欠かせないものですし、そもそも織田さんの発言はネットユーザーからの注目度も高い。せっかくゴールデンタイムに中継ができるのだから、SNSとの親和性が高い織田さんを起用しない手はない。TBSとしても、織田さんを起用しなかった2023年のブダペスト大会を経たことで、“世界陸上の顔”としての織田さんの影響力を再認識することになったのかもしれませんね」(大塚氏)
織田裕二の存在もあり、かなりの盛り上がりとなりそうな来年の世界陸上東京大会。後世に語り継がれる新たな名言の登場に期待せずにはいられない。