いよいよクライマックスシリーズ(CS)に突入するプロ野球。セ・リーグ優勝を果たした巨人が12年ぶりの日本一を奪還できるかに注目が集まるなか、就任1年目の阿部慎之助監督(45)に対して、V9を経験したレジェンドOBたちがエールを送った。「伝統の巨人軍」「球界の盟主」の歴史を作り上げてきた先輩たちが後輩へと説く「日本一の条件」とは──。
「汚名返上を」
2012年のシーズンを最後に日本一から遠ざかっている巨人。前回の日本一当時の主軸メンバーだった阿部慎之助監督に、12年ぶりの悲願達成が託される。V9時代の正捕手で、西武の監督時代に就任1年目から日本一を達成した森祇晶氏(87)は、西武監督在任9年間でリーグ優勝8回、日本一6回の黄金時代を築いた名将だ。その森氏は、同じキャッチャー出身監督であり、就任1年目で日本一を目指す阿部監督の手腕に一定の評価を示す。
「今年のジャイアンツは、はっきり言って打線が弱く、完封負けが20試合以上もあった。そのなかで阿部監督はピッチャーの起用に工夫をこらし、バッテリーが守り切る野球をしていた。攻撃型の監督ならすぐに打順をいじったり、野手を入れ替えたりするが、阿部監督は我慢強く、守ってつなぐ野球を見せてくれた。キャッチャー出身の監督ならではの勝ち方だったと思うよ」
阿部監督の「守り勝つ野球」を体現する投手陣には、10月16日からのCSのファイナルステージ、26日からの日本シリーズでもシーズン以上の奮闘が求められる。その柱となるのが、復活を遂げたエース・菅野智之(34)だろう。今季はリーグ最多の15勝(3敗)、同2位の防御率1.67と圧巻のピッチングを見せた。ところが、その菅野は短期決戦の実績に乏しいという不安が残る。スポーツ紙デスクが語る。
「菅野は、巨人が日本一になった翌年の2013年に入団し、一度も日本一を経験していません。入団1年目には、広島とのCSで1勝をあげたものの、楽天との日本シリーズでは1勝1敗で貯金を作れずに敗退。2019年と2020年の日本シリーズではともにソフトバンク相手に黒星を喫した。エースが奮わなかったチームは、2年連続4連敗という結果に終わりました」