戦後の名作日本映画に見る「意外に若い!」のトップ5
戦後の名作日本映画の登場人物にも、役を演じていた当時の年齢を知ると「えっ、あの人って、そんなに若かったの!?」と驚くケースが多々あります。
映画のメジャー度と役と実年齢のギャップ感を元に、独断でトップ5を選んでみました。順位を付けるのはおこがましいので、公開順の並びにさせてください。年齢は公開された日で計算しています。撮影はそのだいぶ前なので、実際はさらに若めですね。
・『生きる』(1952年公開)で市民課長を演じた志村喬は、当時47歳
・『東京物語』(1953年公開)で老いた父親を演じた笠智衆は、当時49歳
・『ゴジラ』(1954年公開)で婦人代議士を演じた菅井きんは、当時28歳
・『楢山節考』(1958年公開)で老いた母親を演じた田中絹代は、当時48歳
・『砂の器』(1974年公開)で老いた父親を演じた加藤嘉は、当時61歳
どの方も、日本を代表する名優ばかり。そんじょそこらの40代の俳優には、あの映画での志村喬さんのくたびれた雰囲気は出せないでしょう。田中絹代は、老婆を演じるために自分の前歯を何本か抜いたとか。加藤嘉さんの役は、小学生の子どもの父親なので30~40代の設定かもしれませんけど、実年齢よりはるかに老人に見えました。
ここにあげたのは“極端な例”かもしれません。だとしても、昭和の先輩たちは令和を生きる私たちに比べて、しっかり着実に年齢を重ねていたように感じます。当時の若者や中年が年相応以上の貫禄を漂わせていた姿を思い出すと、令和的な感覚に染まって「なるべく若く見られたい」とジタバタするのが、なんだか子どもっぽく思えてきます。
着実に年を取っていく宿命からは、誰も逃れられません。昭和の「意外に若かった」人たちを見習って、あえて実年齢以上の振る舞いを目指してみるのも一興。そうすれば年を取ることが怖くなくなって、結果的に若々しくいられるかも……おっと、「なるべく若く見られたい」の呪縛から逃れるのは、どうやら容易ではないようです。